労働安全衛生

森林事業における労働安全衛生

国内森林事業における取り組み

住友林業は、日本国内で約4.8万ヘクタールの社有林を管理しています。これらの森林では、植栽、下刈り、除伐、間伐及び皆伐などの作業を委託した方々の労働災害を防ぐため、社員による安全パトロールに加え、事業所ごとに「労働安全大会」を年2回実施しています。

労働安全大会では、労災防止や環境教育の専門家による講義、現地での安全指導などの啓発活動を強化しています。

2022年度は、前年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症の影響があったものの、各森林事業所で1回以上、労働安全大会を実施しました。大会では、林業労働災害の発生状況、森林施業における労働安全対策、熱中症予防などの様々なテーマを関係者と共有し、相互理解を深めました。

2022年度は、住友林業の社有林の作業現場において、労働者災害補償保険法の休業補償給付対象の災害は発生しませんでした。今後も、労働災害0を目指して、取り組みを継続していきます。

労働安全大会の様子(日向森林事業所・東郷樹木育苗センター)。 労働安全大会の様子(日向森林事業所・東郷樹木育苗センター)。

労働安全大会の様子(日向森林事業所・東郷樹木育苗センター)

社有林での請負業者の労働災害件数※1※2

2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
1件 1件 2件 0件

※1 労働者災害補償保険法における休業補償給付対象件数を開⽰

※2 2020年度以降の集計期間は各年1月~12月、2019年度の集計期間は4月から翌年3月

森林資源部 労働安全衛生管理体制図

森林資源部国内森林グループ 労働安全衛生管理体制図

「ISO45001:2018」認証取得

国土面積の約800分の1に相当する国内社有林の森林経営を担う資源環境事業本部 森林資源部 国内森林グループでは、住友林業独自の労働安全管理マニュアルの作成、機械化、苗木資材運搬用のドローン導入など請負事業者と連携しながら労働災害の予防啓発に取り組んできました。さらなる安全活動の取り組み強化と安全への意識向上のため、2021年度に ISO45001労働安全衛生マネジメントシステムを導入しました。

2021年8月に資源環境事業本部 環境・エネルギー部、ジャパンバイオエナジー、品質・安全マネジメント室の3組織が合同で「ISO45001:2018」を取得しました。2022年には、資源環境事業本部 森林資源部 国内森林グループと新居浜森林事業所及び本山樹木育苗センターが適用範囲に加わり、住友林業の資源環境事業部門として「ISO45001:2018」の認証を取得しました。また、日向森林事業所、東郷樹木育苗センター、岐阜樹木育苗センターでは、2023年度の認証取得に向け、自己適合宣言を行いました。

今後も、社有林事業や苗木事業における安全衛生管理体制の強化を図っていきます。

※ ISOに基づくマネジメントシステムを自社で構築、運用、適合していることを宣言すること

社有林内で伐採請負業者が重機で集材している様子(新居浜山林事業所)

社有林内で伐採請負業者が重機で集材している様子(新居浜森林事業所)

海外森林事業における取り組み

住友林業グループは、海外で約24万ヘクタールの植林地を管理しています。労働災害を防止するために、海外森林会社全社でオペレーターの安全装備装着を徹底するとともに、定期的な安全講話や朝礼等を通じた安全・衛生に関する注意喚起を実施しています。

具体的には、①作業前の安全装備着用確認の徹底、②伐採請負会社との定期ミーティングや現場訪問による安全管理、事故発生時の即時報告に関する注意喚起の実施、③労働安全の専門家による自社及び伐採請負会社の労働安全衛生に関するアセスメント等を実施しています。

2022年度は、労働災害(休業4日以上)が11件発生しました。草刈り用のナイフやチェーンソー使用時の災害件数が最も多く、再発防止策として、作業者に対する安全啓発の強化及び作業方法の見直しを行いました。また、管理者の安全意識向上を目的としてグローバル林業労働安全大会を開催しました。

※ オープン・ベイ・ティンバー(OBT)、ワナ・スブル・レスタリ(WSL)、マヤンカラ・タナマン・インダストリ(MTI)、クブ・ムリア・フォレストリ(KMF)、タスマン・パイン・フォレスツ(TPF)

海外森林事業での
請負業者の労働災害件数

2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
3件 3件 15件 11件

※ ⽇本の労働者災害補償保険法における休業補償給付対象件数(休業労災4日以上)を開⽰

海外植林地における新型コロナウイルス感染症対策

海外の各植林地では、新型コロナウイルス感染症対策として各社内独自のガイドラインを策定し、対策を行ってきました。手洗いうがいやマスクの着用といった基本的な対策だけでなく、地域医療を支えるクリニックや人との接触の多い商店スタッフ、幹部職員に対する毎月の抗原検査を実施しています。

インドネシアのWSL、MTI及びKMFでは、西カリマンタン州ポンティアナックの本社で必要最低限の交代出社を行い、ジャカルタ事務所で行政の規制を上回る対応の完全テレワークを実現しました。植林事業地においては人の出入りを厳しく管理することで、社員やコントラクターへの感染防止に努めました。

パプアニューギニアのOBTでは、保健局の移動、宿泊等を手配することで、地域住民の遠隔地での集団ワクチン接種を支援しました。

自由な移動や帰省ができない中で事業を行うことは、多くの社員にとって非常に大きな負担を伴います。しかし、これまで以上にコミュニケーションを取り、互いに励まし合うことで、全社員が一丸となって新型コロナウイルス感染症の拡大防止に取り組みました。

集団ワクチン接種の様子。

集団ワクチン接種の様子

グローバル林業労働安全大会を開催

住友林業グループは、国内・海外の森林事業の労働安全意識向上を目的に、2022年9月、第1回グローバル林業労働安全大会を開催しました。本大会にはパプアニューギニア、ニュージーランド、インドネシアのグループ各社、国内各地の山林事業所、本部各部と品質・安全マネジメント室から40名がオンラインで参加しました。国内外の林業現場の労災対策について議論し、作業者のヒヤリ・ハットの共有・原因分析を通して労災防止につなげる方針を確認しました。

住友林業グループは、現場作業員の安全と健康を確保するため、今後も継続して労働安全大会を開催し、労働災害の撲滅を目指していきます。

第1回グローバル林業労働安全大会の様子。

第1回グローバル林業労働安全大会の様子