持続可能な森林経営

森林資産の運用

基本的な考え方

森林資産と森林投資の特徴

森林資産は持続可能な天然資源であり、経済環境によらず立木は成長を続けることなどのユニークな特徴を持った実物資産です。森林資産は、株式・債権などの伝統的金融資産とは価格変動の相関性が低いとされており、リスク分散の観点から、オルタナティブ投資の対象としても選ばれてきました。一般に、投資家による森林投資は、TIMO※1と呼ばれる森林投資を専門とするファンドマネージャーが組成・運営するファンド(森林ファンド)を通じて行われ、米国を中心に1980年代から発展し成熟してきました。森林ファンドを一言で表すと、投資家の方からお預かりした資金を投資して森林資産を取得・運用し、森林経営を通じて得られた収益を投資家の方へ還元する仕組み、といえます。

グローバルな気候変動対策への貢献

温暖化対策の国際的な枠組みであるパリ協定をはじめとして、日本だけでなく世界中でカーボンニュートラルの実現を目指す動きが加速しています。こうした流れの中で、NbS※2アプローチの一つとして、森林はCO2吸収源としての役割が期待され、脱炭素社会の実現に向け、その重要性が一段と高まっています。具体的には、企業が排出削減に努めたうえで削減しきれなかった温室効果ガスの排出量について、適切な森林管理を通じて創出された森林由来のカーボンクレジットによってオフセットする仕組みの活用などがあげられます。

森林ファンド事業に取り組む意義

住友林業は、創業以来永きにわたって森林経営を続けている日本国内の社有林をはじめとして、東南アジア・オセアニア地域でも森林経営の実績を積み重ねてきました。これまで培ってきた森林経営の知見をより幅広く展開し、かつグローバルな気候変動対策にも貢献する取り組みとして、2022年10月に森林アセットマネジメント会社Eastwood Forests, LLC(以下、EF社)を設立し、森林ファンド事業の拡大に向けて新たな一歩を踏み出しました。

※1Timber Investment Management Organizations

※2Nature-based Solutions 社会課題に効果的かつ順応的に対処し、人間の幸福及び生物多様性による恩恵を同時にもたらす、自然の、そして、人為的に改変された生態系の保護、持続可能な管理、回復のための行動(The International Union for Conservation of Natureの定義)

住友林業グループの森林ファンド事業

2023年6月に、第1号ファンドである、Eastwood Climate Smart Forestry Fund I(以下、本ファンド)の運用を開始しました。運営は、住友林業グループが森林ファンド運営において豊富な知見・経験を有するパートナーとともに立ち上げたEF社が行っています。EF社は米国・ノースカロライナ州に所在し、森林資産の取得・運用等、森林ファンド運営の実務を担っています。

本ファンドの特徴・仕組み

本ファンドには当社を含む日本企業10社が参画しており、資産規模は約600億円で運用期間は15年の計画です。ファンドの仕組みを活用することで個々では実現できない面積・資金規模で森林を適切に管理し、グローバルな気候変動対策を実践します。森林資産取引のマーケットや制度が確立されている北米を中心に森林資産を取得し、持続的な森林経営を通じて得られる木材やカーボンクレジットの販売を行います。2025年12月末時点では米国、カナダ、パナマ、コスタリカにおいて合計約9.4万ヘクタールの森林の取得を完了しています。
当社子会社である住友林業アセットマネジメント株式会社が、ファンド組成及び組成後の出資者とのコミュニケーション等に関して、日本側からファンドをサポートしています。

森林ファンドの仕組み

本ファンドの仕組み

森林ファンドで取得した森林資産
森林ファンドで取得した森林資産
森林ファンドで取得した森林資産

森林ファンドで取得した森林資産

再造林の推進による森林の価値創造

住友林業と三井住友信託銀行の合弁会社「日本森林アセット」は、伐採跡地の再造林事業を積極的に展開しています。2024年1月の設立以降、九州や東北を中心に伐採跡地を取得し、各地で再造林を行っています。

本事業の特徴

日本森林アセットは伐採後に再造林が計画されていなかったり、実施されていなかったりする森林を取得し、循環型林業を推進します。住友林業の森林経営の知見と三井住友信託銀行の金融ノウハウを組みあわせ、2030年までに3,000ヘクタールの再造林を目標としています。J-クレジット制度を活用して収益を確保し、経済性の高い森林経営を実現します。将来的には森林ファンドの組成も視野に入れています。

循環型社会に貢献するサイクル図

国が認証する制度に基づき、省エネ設備の導入や再生可能エネルギーの活用によるCO2等の排出削減量や適切な森林管理によるCO2等の吸収量をクレジット化したもの

取得した伐採地の地ごしらえ及び植栽の状況
取得した伐採地の地ごしらえ及び植栽の状況

取得した伐採地の地ごしらえ及び植栽の状況

社会課題への対応

日本では毎年約6~7万ヘクタールの森林が主伐される一方、再造林は約3万ヘクタールにとどまり、再造林率は50~60%に低迷しています。森林所有者の経営意欲低下や所有者不明による放置が課題となっています。本事業を通じて、管理不十分な森林の価値向上と、森林由来のJ-クレジットの創出・流通量の拡大に貢献します。

地域連携の強化

鹿児島県肝属郡錦江町、大隅森林組合、日本森林アセットの三者が「森林に関する包括連携協定」を2025年10月1日締結しました。再造林率100%を達成するためにJ-クレジットの活用を含めた費用負担の軽減をはじめ、林業従事者の育成と雇用創出に共同で取り組むことにより、多面的機能を持つ森林資源を将来世代に確実に引き継ぐことを目指しています。

このような地域と密着した協働体制を各地に広げることで、森林の持続可能性と地域活性化の両立を目指し、地域連携型の再造林を積極的に推進していきます。

地域連携の強化
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