住友林業グループは、山林事業や緑化事業、また事業を通じた環境保全の取組み等でこれまで培ってきたノウハウを結集し、「木」や「緑」に関する様々なサービスを提供しています。
街の緑から山の緑をもちろん、重要文化財の庭園保全、そして名木・貴重木の苗木増殖やDNAによる品種識別などのご相談に各分野の専門家が対応します。
Feature
近年、環境意識の高まりやESG投資の拡大等により、森や木、そして緑に関する注目が高まっています。あらゆるステークホルダーのニーズに応じて、住友林業グループが保有する「森」「木」「緑」に関する様々な知見をトータルコーディネートサービスとして提供します。
山林、庭園・管理、建築に関するサービス
街の緑、里山整備、庭園管理、木造建築、森林管理、環境植林、獣害対策、苗木生産に関する各種サービスを提供します。
- 国内外の研究所・大学など学術機関との共同調査を行い、庭園・山林の独自の生態系、および庭園・寺社仏閣建築物の歴史的背景・価値を正確に把握・評価。
- 生態系の維持や歴史的価値を向上させる造園管理や建築物の修復等。
- 日本国内の農山村地域におけるシカ等の獣害対策として、新型ツリーシェルターの開発、設置指導と販売。
神社仏閣の造園事例
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総本山 醍醐寺 三宝院庭園
総本山 醍醐寺 三宝院庭園
三宝院は醍醐寺の総門をくぐり、「桜の馬場」と呼ばれる参道の左側に位置する塔頭であり、国の特別史跡・特別名勝となっている三宝院庭園は豊臣秀吉が自ら「縄張り」をし、築造した庭園です。桃山時代の風格のある力強い護岸石組と築山に景石を配した庭池庭園です。住友林業と三宝院庭園との関わりは経年劣化と阪神大震災による、護岸石組の緩みと崩落を復旧する保全修復整備事業から始まり、現在の庭園管理業務に至ります。
総本山 醍醐寺 林泉
総本山 醍醐寺 林泉
下醍醐の境内最奥地周辺は、醍醐天皇1000年御遠忌(1930年)を記念して造設されました。鐘楼、大講堂、弁天堂、池と滝により構成され、「林泉」と呼ばれています。
林泉の池は水景と醍醐寺境内の防火用水を兼ねており、経年劣化と阪神大震災による、池底の亀裂、護岸石組の緩みや崩落の為、漏水が激しく貯水不可となり、防火用水としての機能が果たせなくなりました。住友林業グループは池の防水、護岸石組の復旧、滝の修復、太鼓橋の架け替え、沼地の再利用等(無量寿苑)を含め、林泉全域の修景修復を受注し完了しました。以後、現在の林泉管理業務に至ります。
総本山 仁和寺 松林庵
総本山 仁和寺(にんなじ)
「松林庵(しょうりんあん)」
総本山仁和寺は、京都市右京区御室にある真言宗御室派総本山の寺院で仁和4年(888年)宇多天皇が創建しました。古都京都の文化財として、世界遺産に登録されています。松林庵は仁和寺御室御所の諸大夫(しょだいぶ)で寺医も兼ねた久富家から寄贈された旧家です。住友林業ホームテックは仁和寺を宿泊施設として活用するため改修し2017年9月に竣工しました。住友林業緑化は2003年から仁和寺御殿及び境内庭園の手入れ・維持管理を担当しており、2018年に修景造園工事を担当しました。「松林庵」が周りの木々に溶け込んで佇む姿をイメージして作庭し、訪れた宿泊者に御寺境内からつながる自然のままの風景を堪能していただけるよう植栽を設えています。建物裏の本庭は周囲の建物の圧迫感を緩和するため、盛土地形を利用し、掘削できない地盤条件の中で平地から築山(つきやま)を築き、草木や灯篭、庭石などを配しています。
名木、貴重木に関するサービス
名木を核にして周辺環境を整備することにより、
既存施設の価値が向上
神社仏閣にある歴史的名木や、企業のシンボルツリーなどの樹勢回復や後継樹育成を核に、周辺の庭園・公園の造成、木造建築物の修復・建築、所有山林の整備と生態系や歴史的価値に配慮した維持・管理、さらにはイベントやプレスリリースなどを実施し、観光・レクリエーション資源としての価値を高めます。
- 名木自体の樹勢を回復。
- DNA鑑定による品種の同定及びDNA鑑定書の発行による価値の向上。
- 樹勢回復が難しい場合は、バイオ技術で、その木と同じ遺伝子を持った後継樹を育成。
- 名木の保存を中心とするイベント(記者発表・植樹祭など)を実施。
- 増殖させた名木を販売、あるいは、取引先や地域への贈答品や新たなシンボルツリーとして利活用。
名木のDNA分析技術
住友林業は、2011年3⽉に国⽴研究開発法⼈森林総合研究所、国⽴遺伝学研究所、財団法⼈遺伝学普及会と共同で、DNAマーカーを活⽤してサクラの栽培品種を識別する⼿法を確⽴しました。250以上あるといわれているサクラの栽培品種の中で、DNAを⼊⼿できた約200品種についてのDNAデータベースを作成し、確実に桜の栽培品種を識別可能となりました。
このノウハウを松や梅などの苗木増殖にも活用しています。
組織培養による苗⽊増殖
組織培養は、植物組織の一部を無菌の試験管の中で培養し、苗を増やすクローン技術のひとつです。
無菌下で作業をするため、病虫害の心配がなく、半永久的に試験管内で保存することが可能です。 小面積で大量の苗が季節によらず生産できるとともに、組織の若返りも期待できます。
貴重木の苗木増殖
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臨済宗霊鑑寺”小桜”椿
臨済宗霊鑑寺”小桜”椿
臨済宗 霊鑑寺(れいがんじ)の境内には、池泉鑑賞式庭園が広がり、その庭には後水尾天皇遺愛の“日光椿(じっこうつばき)”(京都市天然記念物)をはじめとする、霊鑑寺だけに現存する数十品種の椿が植えられています。
それらの椿は、古いもので300年以上の樹齢を重ねたものも存在し、昨今では樹勢が衰えはじめる品種も生じてきたことから、2007年より住友林業が複数の霊鑑寺オリジナル品種の椿を対象とした後継稚樹の増殖(クローン化)に着手し、2009年に成功しました。
長興山紹太寺
小田原市指定天然記念物シダレザクラ
長興山紹太寺
小田原市指定天然記念物シダレザクラ
長興山紹太寺のシダレザクラは、その優美な枝ぶりから江戸時代には「瓔珞桜(ようらくざくら)」とも呼ばれ永く人々に親しまれており、現在は小田原市指定の天然記念物であり、「かながわの名木百選」にも指定されています。樹齢約340年を超えると言われ、昨今では樹勢の衰えが心配されていました。2003年より住友林業は紹太寺のシダレザクラのクローン増殖の研究を開始し、2009年に組織培養による苗木(クローン桜)の増殖を成功しました。
奇跡の一本松
奇跡の一本松
「奇跡の一本松」は東日本大震災の津波に耐え唯一残った松で、住友林業は震災直後から後継樹育成を試み2011年に接ぎ木と実生による苗木増殖に成功し、2019年9月22日、故郷の陸前高田市に初めて里帰りしました。
盆梅 芙蓉峰(ふようほう)
盆梅 芙蓉峰(ふようほう)
盆梅 芙蓉峰(ふようほう)は勇壮な幹と、紅梅の花が赤富士を連想させることから命名された、高さ約245cm、重さ約800kg、樹齢伝350年の長浜盆梅展で最も重い盆梅です。
住友林業は2020年10月、滋賀県長浜市所有の盆梅(樹齢350年~400年)3品種の増殖に成功しました。梅の古木を組織培養した増殖は2015年の京都北野天満宮本殿前の御神木に続き2例目です。
盆梅 不老(ふろう)
盆梅 不老(ふろう)
盆梅 不老(ふろう)は、長浜の盆梅の中で、樹齢伝400年と最も齢を重ね、不老長寿を感じさせる盆梅です。
住友林業は2020年10月、滋賀県長浜市所有の盆梅(樹齢350年~400年)3品種の増殖に成功しました。梅の古木を組織培養した増殖は2015年の京都北野天満宮本殿前の御神木に続き2例目です。
盆梅 さざれ岩(さざれいわ)
盆梅 さざれ岩(さざれいわ)
盆梅 さざれ岩(さざれいわ)は高さ約275cmと、長浜盆梅展で一番の高さを誇り、「盆梅 不老(ふろう)」とともに盆梅展の双璧を成しています。「千代に八千代にさざれ石の巌となりて・・・」の歌詞のように老木であり、千代の苔と並んで展示することでおなじみです。
住友林業は2020年10月、滋賀県長浜市所有の盆梅(樹齢350年~400年)3品種の増殖に成功しました。梅の古木を組織培養した増殖は2015年の京都北野天満宮本殿前の御神木に続き2例目です。
仁和寺 御室桜
仁和寺 御室桜
真言宗御室派 総本山仁和寺の境内中門をくぐると左手に広がる“名勝 御室桜”は、正保3年(1646年)に行われた伽藍再建の際に植えられたと伝えられています。人の背丈ほどまでにしか成長しないことや、遅咲きであるという特長をもつこの桜は、人の視線の高さで花見ができ、京都の春の最後を彩る桜としてその名が知られていますが、樹齢360年を超えることから樹勢の衰えが顕著であり、一部では枯死も危惧されていました。住友林業は2010年、増殖組織培養による苗木増殖に成功し、継続して増殖した苗木の保護・保存にも協力しています。
伊豆大島 国指定特別天然記念物 桜株
伊豆大島 国指定特別天然記念物 桜株
伊豆大島のオオシマザクラのうち、最古最大のもの。樹齢は800年以上と言われ、江戸時代には沖を通る船の目印となっていたと言われています。元株とよばれる最大の太さを誇る幹と、その周りに立ち上がった3本のサクラで構成されています。中心となる元株は樹高6.5m、樹高幹周6.95m、最大樹幹は9.5m、最小樹幹は7.3mあります。1935(昭和10)年12月に国の天然記念物の指定を受け、1952(昭和27)年3月には特別天然記念物となっています。
日吉大社 日吉桜
日吉大社 日吉桜
日吉大社の日吉桜は八重の山桜の一種で、一輪に30枚ほどの淡紅色の花びらをつけます。社伝には平安末期から鎌倉時代の歌人として知られる西行法師が参詣の折に 「一重づづ 七の社に手向けてもなお余りある 八重桜かな」という歌を詠んだとの言い伝えが残り、東本宮に縁の深いご神木として古くから親しまれてきました。日吉大社境内で最後の一本とされた木が約20年前に立ち枯れたため、接ぎ木で日吉桜を育成し、2014年に境内に植栽しました。しかし、接ぎ木は台木が別品種で、将来台木の枝が主軸となり別品種になってしまう可能性があることから、文化的・科学的に重要な日吉桜をより確実に継承すべく、組織培養技術による苗木の増殖に着手しました。
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