自然あふれる富士山2合目の「まなびの森」フォレストアークから
四季折々のようすやボランティア活動についてお伝えします。
みなさん是非「まなびの森」へ足をお運びください。
お待ちしております。
富士山「まなびの森」フォレストアーク副館長・管理人
沢田明宏
冬枯れの森はドラマが少ないです。ただ、葉を落とした森は、遠くまで見通せることが何よりの魅力です。そんな中では、冬の渡り鳥であるアトリやツグミの仲間が群れをつくり、啼き交わしながら飛びまわっているのを見ることができます。
「まなびの森」の「主の樹」と呼んでいるシナノキが7月にたくさん花を咲かせたことをご紹介しました。花が咲けば、その結果として実がなります。今年はシナノキの種がたくさん林床に見られます。花は5~10が小さな塊になって咲きますが、その花序と呼ばれる房の根元にはヘラ状の苞(総苞片)があります。種が実ると、総苞片をくっ付けた形で種がクルクル、フワフワと舞いながら遠くへ飛んでいきます。総苞片がまるで竹トンボの羽のような役割を果たしています。シナノキが遠くまで種を飛ばして子孫を残そうとする作戦が良くわかります。
フォレストアークの近くに小さな水場があり、そこではいろいろな野鳥や動物たちが集まり、水浴び、水飲みをしながら、興味深い出来事を繰り広げています。近くに設置しているセンサーカメラがその様子を捉えていますが、時折センサーカメラの箱の上にも動物たちの活動の痕跡が残されています。今回は箱の上にテンの糞が残されていました。ツルマサキかツルウメモドキの赤い実をたくさん食べたのでしょう。糞も赤色に染まっていました。
また、フォレストアークから直線距離で500~600mの場所に割りと大きなヌタ場があり、そこにもセンサーカメラが2個設置されています。今回、ヌタ場にやって来たツキノワグマがセンサーカメラから発せられる赤外線に興味津々で覗きこんでいるシーンが捉えられました。カメラ箱の上にはクマが前足で擦った泥汚れが残っていました。
2025年は終わろうとしています。今年1年間ご愛読ありがとうございました。来年も色々な角度から「まなびの森」をご紹介できたらと思います。
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シナノキの種とその総苞片(赤円内) この総苞片が竹トンボの役割を果たす
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水場に設置しているセンサーカメラの上にあったテンの糞
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ヌタ場に設置しているセンサーカメラの箱の上に残っていた泥汚れ(赤円内)
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別のセンサーカメラが捉えたツキノワグマがセンサーカメラに興味深々な瞬間
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ヌタ場のセンサーカメラ2つ 向かって左が近景、右が遠景 今回は近景カメラ箱に泥汚れが付いており、それを遠景カメラが捉えていた
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仕事納めの朝に見られた雪化粧が美しい富士山
今年の紅葉は色づきが悪いと先月書きましたが、11月になってようやくヤマモミジやイタヤカエデ、ヒナウチワカエデが色づいてきました。ただ、やはり例年と比べると黄色味が強い色づきとなっています。いつもの年であれば、きれいに赤く色づくヤマモミジやヒナウチワカエデが黄色がかった薄いピンク色に紅葉しています。例年に比べて森に赤色が少なく、黄色が多い感じです。夏~秋の高温が影響しているのでしょうか。
ただ、その中で鮮やかに赤く色づいている樹があります。メグスリノキです。3枚の複葉で一見分かりにくいですが、れっきとしたカエデの仲間です。名前のとおり昔から葉や小枝を煎じた液体を眼病の洗眼に使ったそうで、別名チョウジャノキ(長者の木)とも呼ばれています。現代の科学的分析でもその薬効が確認されています。
富士山の初冠雪から何度か降雪を繰り返し、ある日の朝には5合目まできれいな雪化粧となりました。山頂付近では強い風に雪が舞い上がって、雪煙が見られました。
小春日和の続く日々があり、森の中では11月になってもキノコが多く見られました。朽ちかけた切り株にはホコリタケが群生しており、一箇所にこれほど大量に発生している様子は初めて目にする光景でした。別の朽木にはイタチタケが群生していました。イタチタケは傘の色がイタチやテンの体色に似ているのが名前の由来だと考えられます。傘の縁には白い綿毛のような被膜があるのが特徴ですが、脱落しやすいので見分ける時には注意が必要です。また、色鮮やかなヒイロチャワンタケも見られました。
森の樹々は葉をすっかり落として、冬支度が整った様子です。青々とした葉が残っているのは常緑のツルマサキ、茶色い葉を残しているのはチドリノキと一部のブナです。
2025年も残すところあと1ヶ月となりました。
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10月の初冠雪から何度か雪化粧し、5合目あたりまで雪に覆われた富士山
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青空に黄葉が色鮮やかに映えてます
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今年はヒナウチワカエデが黄色く黄葉
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例年、きれいな紅葉を見せるコハウチワカエデも黄色みが勝っています
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今年の「まなびの森」で一番きれいに紅葉したメグスリノキ
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きれいな紅葉のメグスリノキの落葉 形は変わっていますが、カエデの仲間です
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朽ちかけた切り株からホコリタケが大群生しました
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森のあちらこちらでホコリタケがたくさん発生しました
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色鮮やかなヒイロチャワンタケ
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真っ黒いマメサヤタケ
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傘の縁に白い被膜をもつイタチタケ 名前の由来は恐らく傘の色がイタチの体色に似ているからでしょうか
今年は残暑が厳しい日が続きましたが、10月に入ると急に冷え込みはじめ、ストーブが必要となる日もありました。でも、紅葉は一向に進まず、葉が一気に茶色になって落葉していきます。これは紅葉が進むタイミングよりも一気に気温が下がってしまったためと考えられます。
シトシトと小雨が降る日が多いことで、森の中ではキノコたちがたくさん発生しています。ハタケシメジ、ナラタケモドキ、ヌメリツバタケモドキなどの食用菌やツキヨタケが大きな群落となって発生しています。ツキヨタケは有毒キノコで、日本で一番誤食による中毒が多く発生するキノコです。見た目が如何にも美味しそうに見え、シイタケやムキタケ、ヒラタケなどに似ているためです。半分に切ってみると根元に黒いシミのようなものがツキヨタケの見分ける簡単なポイントです。
今年はウラジロモミの林床にはオレンジ色が鮮やかなアカモミタケがたくさん発生しました。こんなにたくさん発生したのを初めて見ました。このキノコはこの富士宮の地元の人たちは「モミソ」と呼んで、大層好んで食用にしています。
今年のキノコの大発生は極端な夏の暑さと少雨から一転して季節が変わったことが一つの理由かもしれません。
ある日、林道を車で通っていると道端に大きな鳥がいました。尾の長いヤマドリのカップルでした。百人一首の中、柿本人麻呂が「あしびきの ヤマドリの尾の しだり尾の 長々し夜を ひとりかも寝む」と詠んだあのヤマドリです。昔から長い尾が特徴と捉えられていたのですね。姿かたちは日本の国鳥であるキジに似ていますが、色合いが地味です。
森の中で一際目を引くものがあります。朱色のトウモロコシのようにも見えます。マムシグサの仲間の実です。この植物はコンニャクやサトイモの仲間ですが、栄養状態によって雄株から雌株、または雌株から雄株へと性転換するらしいです。
富士山も初冠雪が見られ、これから次第に季節は冬へと歩みを進めていきます。
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ヤマドリのカップル 時々、林道で見かけます
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和製スカラベ(=フンコロガシ)のオオセンチコガネの仲間 構造色が美しいです
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色鮮やかなマムシグサの仲間の実
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ハタケシメジは美味しい食菌 今年はたくさん発生しました
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枯れたミズナラの大木にたくさん発生したナラタケモドキ
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ブナの幹に発生したツキヨタケ 見た目は美味しそうですがこれは有毒です
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高さ3mほどに亘ってたくさん発生しました
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ちょっと風変わりで背の高い胞子葉が美しいフユノハナワラビ
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色鮮やかなアキヤマタケは蝋細工のような見た目です
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ズキンタケが林床にかたまって発生しました
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オレンジ色が鮮やかなアカモミタケは地元民が大好きな食用菌
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倒木から生えた緑色のキノコ、モエギタケ
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幼菌の時は緑色が濃いです








































