自然あふれる富士山2合目の「まなびの森」フォレストアークから
四季折々のようすやボランティア活動についてお伝えします。
みなさん是非「まなびの森」へ足をお運びください。
お待ちしております。
富士山「まなびの森」フォレストアーク副館長・管理人
沢田明宏
年明けからの2ヶ月は本当にあっという間です。その速さを昔から「1月は往ぬる(いぬる)、2月は逃げる、3月は去る」と言われています。まさにその言葉どおり実感しています。
この冬は特に2月になって雪が何回も降り積もりました。15㎝ほど積もった雪が融けないうちに、その上に更に積もったり、と。
こうして、雪原ができるとその上に普段見ることがないたくさんの動物の痕跡が残されます。シカをはじめ、タヌキやテンなどの痕跡が多いです。例えば、シカは群れで行進している様子が想像できる痕跡になっています。中でも、とても愛らしい小さな足跡が残されています。それは、リスの足跡です。前にある少し大きなのが後ろ足、その後方にある小さいのが前足です。一見、前・後ろが逆に思えますが、間違いではありません。両足をそろえて前足を雪原の地面に突き、カエル飛びの要領で後ろ足を引き寄せるようにして進んでいった結果です。
キハダの根元がシカにかじられて鮮やかな黄色が白い地面に映えます。キハダの木部には強い苦みがあり、漢方薬の胃腸薬(漢方の呼び名は黄檗)になることは有名で、「百草丸」や「ワカ末錠」にも入っています。シカもその薬効にありつこうとかじっているわけではないのでしょうが、その食痕の多さから判断するとキハダは大好物のようです。
富士山の麓、富士宮の街中では梅が咲き始め、ジンチョウゲの薫りも漂い始めましたが、
「まなびの森」で花が咲くのはもう少し先です。季節は着々と春に向かっています。
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西臼塚駐車場から見た雪化粧の富士山
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真っ白に雪化粧したフォレストアーク
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巨木シナノキ「主の樹」が雪原で堂々と
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巨木ブナ「千手観音」もその姿を雪原で誇っています
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キハダの根がシカに齧られて真っ黄色に 雪も少し黄色に染まっています
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雪の上の動物痕跡① シカの群れの行進
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雪の上の動物痕跡② リスの足跡 前にある大きめの足跡が後ろ足です
2026年の始まりです。
昨年12月は比較的暖かい冬でしたが、新年を迎えて10日ほど経ったころから冷え込みが厳しくなってきました。1月20日過ぎると今シーズン一番の雪が降りフォレストアークも白く雪化粧しました。
2000年から続けているモニタリング調査の内、鳥獣生息調査は「日本野鳥の会 南富士支部」の皆さんに年4回(1月、2月、5月、6月)お願いしています。1月、2月は冬鳥の調査が主な目的です。1月12日の調査では、アトリ、ツグミ、ウソ、シメなどの冬鳥とエナガ、ヤマガラ、アカゲラなどの常連など合わせて21種の野鳥が記録されました。
2023年に植樹をした木の枝にコロンとしたものが刺さっているのが見えます。良く見てみるとコオロギが枝に刺さっています。これはモズの「はやにえ(早贄)」と呼ばれるものです。モズが自分の備蓄食ためと言うのがこれまでの有力説でしたが、最近は恋愛成就の栄養食のためと言われています。「はやにえ」を多く準備したモズの雄は春先にそれを食べて栄養補給を良くすることで様々な啼き声ができるようになってパートナーに強くアピールできるのだそうです。モズは漢字で「百舌鳥」と書くように、昔から様々な啼き声を持つ鳥として知られていました。そんなモズの一面が垣間見えました。
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朝陽を浴びて輝くように美しい富士山は2合目あたりまで白く雪化粧しました
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今シーズン一番の雪化粧をしたフォレストアーク
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「野鳥の会 南富士支部」の皆さんによる鳥獣生息調査
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陽の光を浴びてキラキラと輝くように見えるヤドリギの黄色い実
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モズの「はやにえ(早贄)」
冬枯れの森はドラマが少ないです。ただ、葉を落とした森は、遠くまで見通せることが何よりの魅力です。そんな中では、冬の渡り鳥であるアトリやツグミの仲間が群れをつくり、啼き交わしながら飛びまわっているのを見ることができます。
「まなびの森」の「主の樹」と呼んでいるシナノキが7月にたくさん花を咲かせたことをご紹介しました。花が咲けば、その結果として実がなります。今年はシナノキの種がたくさん林床に見られます。花は5~10が小さな塊になって咲きますが、その花序と呼ばれる房の根元にはヘラ状の苞(総苞片)があります。種が実ると、総苞片をくっ付けた形で種がクルクル、フワフワと舞いながら遠くへ飛んでいきます。総苞片がまるで竹トンボの羽のような役割を果たしています。シナノキが遠くまで種を飛ばして子孫を残そうとする作戦が良くわかります。
フォレストアークの近くに小さな水場があり、そこではいろいろな野鳥や動物たちが集まり、水浴び、水飲みをしながら、興味深い出来事を繰り広げています。近くに設置しているセンサーカメラがその様子を捉えていますが、時折センサーカメラの箱の上にも動物たちの活動の痕跡が残されています。今回は箱の上にテンの糞が残されていました。ツルマサキかツルウメモドキの赤い実をたくさん食べたのでしょう。糞も赤色に染まっていました。
また、フォレストアークから直線距離で500~600mの場所に割りと大きなヌタ場があり、そこにもセンサーカメラが2個設置されています。今回、ヌタ場にやって来たツキノワグマがセンサーカメラから発せられる赤外線に興味津々で覗きこんでいるシーンが捉えられました。カメラ箱の上にはクマが前足で擦った泥汚れが残っていました。
2025年は終わろうとしています。今年1年間ご愛読ありがとうございました。来年も色々な角度から「まなびの森」をご紹介できたらと思います。
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シナノキの種とその総苞片(赤円内) この総苞片が竹トンボの役割を果たす
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水場に設置しているセンサーカメラの上にあったテンの糞
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ヌタ場に設置しているセンサーカメラの箱の上に残っていた泥汚れ(赤円内)
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別のセンサーカメラが捉えたツキノワグマがセンサーカメラに興味深々な瞬間
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ヌタ場のセンサーカメラ2つ 向かって左が近景、右が遠景 今回は近景カメラ箱に泥汚れが付いており、それを遠景カメラが捉えていた
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仕事納めの朝に見られた雪化粧が美しい富士山








































