自然あふれる富士山2合目の「まなびの森」フォレストアークから
四季折々のようすやボランティア活動についてお伝えします。
みなさん是非「まなびの森」へ足をお運びください。
お待ちしております。
富士山「まなびの森」フォレストアーク副館長・管理人
沢田明宏
■2月管理人日記
良く「1月往ぬる、2月逃げる、3月去る」と言われます。年明け以来、アッと言う間に月日が経つ様を言い表していますが、2月は日数が少ないので余計に早く感じます。
里ではジンチョウゲが薫り、ウメや菜の花も咲きはじめて早春の気配ですが、「まなびの森」はまだまだと思っていました。ところが、2月とは思えないような暖かな日が続いたこともあってか、オニシバリの花が同じ仲間であるジンチョウゲの薫りを微かに漂わせて咲きはじめました。来月はミツマタも花を開くことでしょう。
寒い朝には大きな霜柱が元気に育っています。そして、薄っすらと雪が降った朝には「フォレストアーク」の周りに置いている木製ベンチの上に小鳥が歩き廻った足跡が残されていました。残念ながら、鳥の種類は判りません。
先月に続いて野鳥の会の皆さんによる鳥獣生息調査が行われました。先月は極寒の日でしたが、今回は暖かな日でした。暖かさに誘われてさぞや鳥の姿や啼き声が賑やかだろう、と期待されましたが、意外にも17種と少なかったです。冬鳥はその年の渡り鳥の来訪場所がどこかと言うことで種類数や個体数の変動が大きいと聞きました。
ある日、クマシデと思われる大きな木が途中で折れて地面に落ちていました。恐らく、くっ付いていたツルウメモドキの蔓の重さに耐えかねたのでしょう。ツルも一緒に落ちていました。クマシデは樹皮がそのままちゃんと付いていましたが、ツルの方は樹皮が剥げてつるつるになっていました。冬の間、食糧難になっているシカが比較的厚みのあるツルウメモドキの樹皮を食べたのでしょう。色々な樹木に絡みついて生きているツルウメモドキの樹皮がシカに齧られているのは目にしたことはないので、折れて枯れたことで樹皮が剥けやすくなったなどの理由でシカが食べやすくなったのだろう、と思われます。
春はすぐそこまで来ていますが、標高が1,110mと高い「まなびの森」ではもう少しの間「お預け」となります。
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富士山と菜の花畑、早春の景色です
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15㎜ほどの小さなオニシバリの花、これは雄株で花粉を付けた雄花です
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元気に大きく育った霜柱
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雪化粧したベンチの上をどんな鳥が歩いたのでしょう
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クマシデとツルウメモドキが折れて地面に落ちていました
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ツルウメモドキの方は樹皮が齧り取られてつるつるに
■1月管理人日記
冬枯れの落葉広葉樹林は見通しが良いこと、樹形がよく判ることを先月お伝えしました。
それとともに、着生しているヤドリギやツル性で常緑のツルマサキもよく目につきます。ヤドリギは高い木の上にまるで緑のボールがくっついているように見えます。そして、ツルマサキは地面から幹をよじ登っています。
ヤドリギもツルマサキも色鮮やかな実を付けるので、小鳥たちの大好物であり、冬の大事な食糧となります。ヤドリギの実の内側は粘りがあり、種はそのネバネバに覆われているので小鳥のお腹を通り抜けやすく、そのネバネバによって樹皮の上にくっつき、そのまま発芽します。ヤドリギは自分でも光合成しますが、水分と養分の一部は取り付いた木の樹皮の中に伸ばした根を通してその木から譲ってもらう生活様式となっています。
冬枯れの森は一見死んだように見えますが、野鳥やシカ、イノシシが餌を求めて寒い中を飛び交い、動きまわっています。見通しが良いので、そういう姿もよく見かけます。寒いながらも、春に向けて新芽ができており、また早春に咲く花はシッカリ蕾を付けています。例えば、ミツマタやアブラチャンがそうです。
小鳥たちは寒い朝でもにぎやかにエサを求めて飛び交っています。面白いのは、ススキの穂です。12月は穂に沢山の種がついていましたが、寒くなるにつれてなくなっていきます。風に飛ばされていったものもあるでしょうが、コガラやエナガなど体重が軽い小鳥たちが穂先に掴まって種を啄んでいるのです。
今年最初の野鳥の会の皆さんによる鳥獣生息調査が-10℃に冷え込んだ朝に行われました。鳥の姿を写真で紹介することは難しいのですが、冬鳥のアトリやイカル、アカウソなどの姿を見通しのよい森で見ることができました。
富士山南麓はいつまでも雪化粧しないので、寒い中で夏の趣きのままでした。静岡県側で晴天続きのためだったのでしょう。1月終わり近くになってやっと雪化粧した冬の富士山となりました。
今年も皆さんに少しでも多く目新しい、心温まる話題を発信していきたいと思っておりますので、引続き宜しくお願い致します。
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野鳥の会南富士支部による鳥獣生息調査、「今年もよろしく」でスタート
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調査を終えて、雪がほとんどない富士山をバックにパチリ!
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秋のススキの穂には種が沢山ついていました
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体の小さなコガラやエナガが種を啄んだススキの穂、穂先にはまだ残っています
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雪化粧した樹々は格別の美しさです
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白く雪化粧した富士山、強風で雪煙が上がっています
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寒い朝には木杭の水分が凍りついてキラキラと
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枯草も凍りついて霜の花ができています
■12月管理人日記
本格的な冬の訪れと共に今年も大きな霜柱があちらこちらに見られるようになりました。日中も融けないからでしょうか、10㎝以上に育つことも珍しくありません。
巨木たちが葉を落としている冬場は見通しが良く、樹々の形が良く判ります。樹種により特徴的な樹形が楽しめます。例えば、ケヤキは竹箒を逆さまに立てたような形、ミズキは同じところから枝を伸ばしている、などなど。「まなびの森」の高い場所に行けば樹々の間から駿河湾がよく見え、遠く清水港や美保の浜も見え隠れしています。
例年、冬の期間は「まなびの森」でのイベントもなく、来訪者は途絶えます。しかし、今年は1つだけイベントがありました。静岡県環境政策課の主催で森林環境教育の観点から「企業が取組む森林環境教育」と言うイベントが開かれました。昨年、私が「森林環境教育指導者養成講座」を受講したご縁もあり、「まなびの森」でのボランティア活動や自然体験教室、さまざまなモニタリング調査について20名ほどの参加者に森を歩きながら紹介しました。後半は、インターネット回線で本社と繋ぎ、企業が環境教育に取組むことの意義などをリモート参加の講師である飯塚室長が皆さんに紹介、説明されました。参加者からの質疑応答で盛り上がった時間となりました。
一昨年10月末に「まなびの森」のお隣さんであった静岡県立富士山麓「山の村」が閉鎖され、昨年6月から行われていた解体工事が、12月末で終了します。解体工事期間中は現場責任者の方などと事務連絡などのやり取りがありましたが、それもなくなるかと思うと一抹の寂しさを覚えます。
寒さはこれから2月ごろまで厳しさを増すでしょうが、冬至が過ぎて日ごとに昼間の時間が伸びていて暖かな春の訪れが待ち遠しいです。
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10㎝以上に大きくなった霜柱
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夕陽を受けて紅く染まったケヤキの巨木、別名「海の見えるケヤキ」
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そのケヤキを反対側から見ると駿河湾が見えているのですが… (写真は難しい!)
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「フォレストアーク」での講座のようす
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リモート参加の飯塚室長と本社パソコンに映し出された会場のようす