まなびの森通信

まなびの森通信

自然あふれる富士山2合目の「まなびの森」フォレストアークから
四季折々のようすやボランティア活動についてお伝えします。
みなさん是非「まなびの森」へ足をお運びください。
お待ちしております。
富士山「まなびの森」フォレストアーク副館長・管理人
沢田明宏

【第179回】新緑が目に眩しいほど

2020年 5月31日

■5月管理人日記

 サラサドウダンが鮮やかに開花しました。開花して数日経つと縁取りの紅色がクッキリしてきます。清楚な白い花を一株に一輪だけ咲かせるヤマシャクヤクは「美人薄命」の譬えどおり花の命が1~2日と短いです。
 今年の5月は去年より雨が多く、その為雨上がりの木漏れ日やコケの美しさは格別です。
 ゴマギやナナカマド(7回カマドにくべても燃え尽きないほど薪として長持ちする、と言うのが名前の由来)、ホオノキの白い花たちに交じって、ヤブウツギが紅色の花を沢山つけています。そのヤブウツギには蜜をもとめて沢山の蜂たちが寄ってきます。
 シカやイノシシがヌタ場(動物が体に付いたダニなどの寄生虫や汚れを落とすためにドロ浴びをする場所)に使ったところが水溜まりとなった部分に差し出ている枝にモリアオガエルの泡卵塊を産みました。泡の中で卵が孵化してオタマジャクシが水溜りに落ちて成長していくと言う奇妙な生態をもつモリアオガエルですが、川がなく、水場がほとんど見つからない富士山で一体カエルはどうやって生活、繁殖しているのかと不思議でなりません。
 例年、自然体験教室が開かれる時期になっていますが、今年はご多分に漏れずすべて延期となっています。その中、年に3回行われている踏圧調査の1回目がありました。
 さて、来月はサンショウバラが咲くでしょう。どうぞ写真を楽しみにしていてください。

  • 個人的に一押しの花、サラサドウダン

  • 清楚なイメージで短命な花、ヤマシャクヤク

  • イタヤカエデの若葉、正に「蛙手:カエデ」です

  • カエデの仲間のチドリノキの木漏れ日

  • そのチドリノキの花

  • 雨に打たれて一休みしているウスバシロチョウ

  • 雨上りの苔むした「まなびの森の長老」シナノキ

  • 葉っぱはゴマの香りを持つゴマギの花は甘い薫り

  • ナナカマドの花、同じ白い花でもこちらのにおいはイマイチです

  • 葉っぱも大きいが花も大きいホオノキ

  • 白い花が多いこの季節、紅色が美しいヤブウツギの花

  • モリアオガエルの泡卵塊、この中でオタマジャクシに孵ります

  • ホールアースによる踏圧調査のようす

【第178回】桜の開花

2020年 4月30日

■4月管理人日記

 マメザクラが開花しました。例年より気温が高めだったこともあり、昨年と比べて15日も早い開花となり、2週間ほどして満開となりました。ヤマネコヤナギ(和名はバッコヤナギですが、私はこの別名の方がなんとなく好きです)の白いモフモフの花も可愛らしいです。
 林床ではコガネネコノメソウやフデリンドウ、スミレ、ヤマエンゴサクなどがひっそりと咲いています。
 ゴマギやバイケイソウが一番に新芽を萌えはじめました。
 ゴマギはガマズミの仲間で、葉っぱを揉むとイリゴマのような匂いがします(ゴムの臭いと表現する人もいます)。この匂いのために、シカの食害がほとんど見られません。
 バイケイソウは強いアルカロイド毒をもつ多年草です。若芽が山菜として有名なオオバギボウシ(別名:ウルイ)やギョウジャニンニクに似ているため、毎年誤食による中毒(下痢、嘔吐をおこし、重症の場合は死に至ることも)がおきている要注意植物です。毒があるのでシカが食べないため「まなびの森」でも増えている植物の一つです。シカが食べない、イコール増加傾向にある植物、は今や日本の各地で見られる現象です。
 シジュウカラやヤマガラ、ヒガラなどのカラ類のさえずりは賑やかさを増し、ウグイスや姿が似ていて「チヨチヨビーィ」と啼くセンダイムシクイの鳴き声も加わって春が真っ盛りなようすです。
 来月にはいよいよ私の一押しの花、サラサドウダンが咲くでしょう。写真を乞うご期待。

  • 満開になったマメザクラの花

  • 白い富士山との共演

  • バッコヤナギ(別名:ヤマネコヤナギ)は富士山と白さの競演

  • 林床にひっそりと咲くコガネネコノメソウの花

  • フデリンドウの愛らしい姿

  • オオバギボウシと間違われるバイケイソウ(有毒)

  • バイケイソウの大群落

【第177回】春の訪れ

2020年 3月31日

■3月管理人日記

 ミツマタとオニシバリが満開になりました。また、枯れ葉の蒲団の中に埋もれて黄緑色のフキノトウも見られるようになりました。
 3月になるとシジュウカラ、ヤマガラ、コガラなどの小鳥たちがしきりにさえずりを始めて、縄張りを主張するようになりました。
 3月17日には来年度の「まなびの森」の活動を方向付ける「まなびの森」企画懇談会が20名の参加者の下で開かれました。その中では恒例の地元、富士宮の小学生を約1,100名招待しての自然体験教室が開かれることも固まりました。社員ボランティア活動や一般募集のボランティア活動も予定されており、日程がわかり次第順次発信していきますので奮って参加いただけるよう、よろしくお願いいたします。
 「まなびの森」来訪の常連グループである「まじぇる会」の皆さんにボランティアで手伝っていただき、来年度の森林散策が少しでも安全にできるようにと20ヶ所にスズメバチ・トラップを取り付けました。日本酒、酢、砂糖を混ぜ合わせた誘因液を入れたペットボトルを樹木の幹に括り付けていきます。昨年取り付けたものには沢山のさまざまな昆虫に交じって、スズメバチやオオスズメバチの死骸が必ず複数見つかります(中には10匹近く入っていることも)。スズメバチ・トラップはスズメバチを全滅させるのではなく、遊歩道近くでの巣作りを少なく抑える目的で設置しているものです。
 例年より暖かい日が続いており、スカイライン途中の標高500~700m辺りのマメザクラはすでに満開に近くなっていますが、「まなびの森」のマメザクラの蕾はまだ固いままです。あともう少しと言うところでしょうか。

  • 満開になったミツマタの花

  • 枯れ葉布団から顔を覗かせたフキノトウ

  • 3月17日の企画懇談会のようす

  • スズメバチ・トラップを20個設置

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