自然あふれる富士山2合目の「まなびの森」フォレストアークから
四季折々のようすやボランティア活動についてお伝えします。
みなさん是非「まなびの森」へ足をお運びください。
お待ちしております。
富士山「まなびの森」フォレストアーク副館長・管理人
沢田明宏
■4月管理人日記
マメザクラが開花しました。例年より気温が高めだったこともあり、昨年と比べて15日も早い開花となり、2週間ほどして満開となりました。ヤマネコヤナギ(和名はバッコヤナギですが、私はこの別名の方がなんとなく好きです)の白いモフモフの花も可愛らしいです。
林床ではコガネネコノメソウやフデリンドウ、スミレ、ヤマエンゴサクなどがひっそりと咲いています。
ゴマギやバイケイソウが一番に新芽を萌えはじめました。
ゴマギはガマズミの仲間で、葉っぱを揉むとイリゴマのような匂いがします(ゴムの臭いと表現する人もいます)。この匂いのために、シカの食害がほとんど見られません。
バイケイソウは強いアルカロイド毒をもつ多年草です。若芽が山菜として有名なオオバギボウシ(別名:ウルイ)やギョウジャニンニクに似ているため、毎年誤食による中毒(下痢、嘔吐をおこし、重症の場合は死に至ることも)がおきている要注意植物です。毒があるのでシカが食べないため「まなびの森」でも増えている植物の一つです。シカが食べない、イコール増加傾向にある植物、は今や日本の各地で見られる現象です。
シジュウカラやヤマガラ、ヒガラなどのカラ類のさえずりは賑やかさを増し、ウグイスや姿が似ていて「チヨチヨビーィ」と啼くセンダイムシクイの鳴き声も加わって春が真っ盛りなようすです。
来月にはいよいよ私の一押しの花、サラサドウダンが咲くでしょう。写真を乞うご期待。
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満開になったマメザクラの花
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白い富士山との共演
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バッコヤナギ(別名:ヤマネコヤナギ)は富士山と白さの競演
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林床にひっそりと咲くコガネネコノメソウの花
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フデリンドウの愛らしい姿
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オオバギボウシと間違われるバイケイソウ(有毒)
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バイケイソウの大群落
■3月管理人日記
ミツマタとオニシバリが満開になりました。また、枯れ葉の蒲団の中に埋もれて黄緑色のフキノトウも見られるようになりました。
3月になるとシジュウカラ、ヤマガラ、コガラなどの小鳥たちがしきりにさえずりを始めて、縄張りを主張するようになりました。
3月17日には来年度の「まなびの森」の活動を方向付ける「まなびの森」企画懇談会が20名の参加者の下で開かれました。その中では恒例の地元、富士宮の小学生を約1,100名招待しての自然体験教室が開かれることも固まりました。社員ボランティア活動や一般募集のボランティア活動も予定されており、日程がわかり次第順次発信していきますので奮って参加いただけるよう、よろしくお願いいたします。
「まなびの森」来訪の常連グループである「まじぇる会」の皆さんにボランティアで手伝っていただき、来年度の森林散策が少しでも安全にできるようにと20ヶ所にスズメバチ・トラップを取り付けました。日本酒、酢、砂糖を混ぜ合わせた誘因液を入れたペットボトルを樹木の幹に括り付けていきます。昨年取り付けたものには沢山のさまざまな昆虫に交じって、スズメバチやオオスズメバチの死骸が必ず複数見つかります(中には10匹近く入っていることも)。スズメバチ・トラップはスズメバチを全滅させるのではなく、遊歩道近くでの巣作りを少なく抑える目的で設置しているものです。
例年より暖かい日が続いており、スカイライン途中の標高500~700m辺りのマメザクラはすでに満開に近くなっていますが、「まなびの森」のマメザクラの蕾はまだ固いままです。あともう少しと言うところでしょうか。
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満開になったミツマタの花
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枯れ葉布団から顔を覗かせたフキノトウ
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3月17日の企画懇談会のようす
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スズメバチ・トラップを20個設置
■2月管理人日記
冬枯れの「まなびの森」にも日差しだけでない春の兆しがみられ始めました。
寒い朝には10㎝近くもある特大の霜柱が出現しますが、日中は春の温かさを感じられる日が多く暖冬が続いています。そんな中、2月中旬過ぎに早くも春告げ花とも言えるミツマタやオニシバリが開花しました。どちらもジンチョウゲ科の仲間です。あたり一面に良い薫りを漂わせるほどではありませんが、花に近づけばジンチョウゲに似た薫りが楽しめます。
ミツマタは名前の通り枝が三つ股に分かれています。たまに気まぐれをおこしたのか、二股や四つ股も見られますが、これはごく珍しいケースです。ミツマタは和紙の原料となる木で、樹皮の繊維が強靭です。現在90%輸入品となっているミツマタを2024年の新札発行に向けて四国・徳島県の山間部耕作放棄地などで増産する動きがあるそうです。オニシバリ(鬼縛り)もその名の通り、繊維が強くしなやかです。
キハダの厚いコルク質の樹皮(外皮)はシカの好みらしく、かじられて黄色い内皮がよく見うけられます。キハダの内皮は苦みがあり「黄柏」と呼ばれる大事な漢方胃腸薬で、木曽の「百草」や吉野の「陀羅尼助」の原料となっています。
2月1日には今年度最後の鳥獣生息調査が「日本野鳥の会南富士支部」の皆さんによっておこなわれました。あいにく大きな群れとなるアトリなどが見られなかったこともあり、鳥の数は19種74羽と少ないようでした。春になって繁殖期を迎える頃にはまた多くの鳥が見られることを願っています。
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寒い冬の朝の風物詩である特大霜柱
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ミツマタ:20~30の花の塊の内の2~3が開花
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オニシバリ:数輪が開花
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キハダの根の樹皮をシカがかじって黄色い内皮が見えている
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日本野鳥の会南富士支部の皆さんによる鳥獣生息調査