まなびの森通信

まなびの森通信

自然あふれる富士山2合目の「まなびの森」フォレストアークから
四季折々のようすやボランティア活動についてお伝えします。
みなさん是非「まなびの森」へ足をお運びください。
お待ちしております。
富士山「まなびの森」フォレストアーク副館長・管理人
沢田明宏

【第175回】2020年新しい年を迎えました

2020年 1月31日

■1月管理人日記

 冬枯れの「まなびの森」にも僅かに春の兆しがみられます。
 この冬は例年と比べ大変な暖冬です(平均気温が+0.6℃で暖冬と定義されるらしいですが、今冬は+2.0℃だそうです)が、やはり「まなびの森」は寒いです。
 12月22日の冬至をすぎて2週間が過ぎた1月5日が「まなびの森」仕事始めにあたりました。夕方、フォレストアークから帰宅する時はまだ薄明るく、寒さは厳しいですが日が伸びたことを実感できました。更に、1月末には帰宅時間が夕日の時刻となりました。春が待ち遠しいです。
 そんななか通称「まなびの森」キャニオンで無数の霜柱が創りだした不思議な光景が見られました。キラキラと宝石のように輝いていました。また、1月18日にはこの冬一番となる10㎝ほどの積雪がありました。
 冬になってしきりにシカの群れを見かけます食料となるものが乏しいので、木の冬芽や樹皮までも食べています。特に、キハダやウラジロモミの樹皮はよく食べられています。食痕が樹を一周するとその樹は枯れる運命となります。
 冬のキノコの代表格はエノキタケです。人工栽培されたお鍋の具材によく使われるエノキタケは暗いところで育てられるので白に近い薄クリーム色でヒョロッと長いですね。あれは言わばエノキタケのモヤシです。天然のエノキタケは傘も柄も茶色です。柄の部分には短い毛が生えています。
 先月初めに取り付けていただいたエサ台に早くも小鳥たちがやって来ているようです。1ヶ月あまり安全なのかどうか見極めをしていた小鳥たちでしたが、ヒマワリをしきりに啄んでいるようです。その内、小鳥たちの姿を皆さんにご紹介できたらと思っておりますが、エサ台給餌は春までの期間限定となります。餌付けをするのが目的ではないので、森に虫など小鳥の食糧が出始める頃にはエサは置かないルールで運用することをご承知おきください。

  • 無数の霜柱が創りだした不思議な光景

  • 1月18日、この冬一番の積雪

  • 「まなびの森」看板も真っ白に

  • 真新しいシカによるウラジロモミの根元の樹皮の食痕

  • 寒い冬に発生するエノキタケ

【第174回】冬枯れの中でも豊かな自然がみられます

2019年12月27日

■12月管理人日記

 「まなびの森」はすっかり冬枯れのようすとなってきました。常緑のヒノキやウラジロモミといった針葉樹を除く広葉樹はほとんど葉を落としました。その中で、林床には夏落葉樹であるオニシバリが濃い緑の葉をつけ、落葉で明るくなった林内でセッセと光合成をしています。ブナやイタヤカエデが葉を落として見通しがよくなった樹上では常緑のツルマサキやヤドリギの姿が目に見えるようになりました。ツルマサキは赤い実が良く目立ち、餌が少なくなったこの時季の森の中で小鳥たちの数少ない食糧庫の役目を果たしているようです。また、カエデの仲間のチドリノキは枯れ葉が枝にそのまま残っています。夏から秋にかけて枝先についているチドリノキの種の付き方が群れ飛ぶチドリを連想させることが名前の由来だと図鑑などに載っていますが、冬に枝先に残っている枯れ葉が風に揺れる様子も群れ飛ぶチドリに見立てることもできるなぁと思います。
 12月中旬、地元の「野鳥の会」会員の方が小鳥の水浴び場とエサ台を自作されたものを設置していただきました。警戒心の強い森の小鳥たちは安全なのかどうかまだ様子見をしているようで近づいてきませんが、春になればきっと彼らの格好の遊び場兼食堂になるのではないかと今から楽しみにしています。フォレストアークにお越しの際はぜひソーっと覗いてみてください。

  • 冬も青々と葉を付けているツルマサキ

  • ツルマサキが沢山の赤い実をつけている

  • ヒメシャラの枝にとまったイカル このあとヒメシャラの冬芽を啄んでいました

  • 枯れ葉がたくさん残っているチドリノキ

  • 5㎝以上になった霜柱

  • 「野鳥の会」の方に設置していただいたエサ台と水浴び場

【第173回】本格的な冬となってきました

2019年11月30日

■11月管理人日記

 11月に入ると気温はドンドン下がり、日中でも一桁の6~7℃と言う日も多く真冬と言った様相になってきました。雪虫と通称されるワタアブラムシの仲間(北海道のトドノネオオワタムシが有名)がフワフワと飛び交い、「まなびの森」辺りの初雪も近いのかも知れません。体長5㎜ほどの小さなこの虫は躰から分泌した糸状のロウ分があり、まるで綿毛で覆われているように見えます。
 11月10日過ぎには紅葉も綺麗にみられるようになりました。イロハカエデ、ヒナウチワカエデ、ミズキなどの赤、イタヤカエデ、ケヤキなどの黄色、ミズナラ、ヒメシャラの茶色と様々な色が森を彩っています。
 9月の終わりに苔むした倒木に丸い卵のようなもの(スッポンタケ?の幼生)が発生しましたが、なかなかキノコになりませんでした。寒さで成長が遅くなり、この卵の状態まま萎んでしまうかと思っていると、ついに姿を現しました。やはりスッポンタケでした。残念ながら、成長したキノコをタイムリーに写真に収めることはできませんでした。卵の中でギュッと小さく折りたたまれた状態の子実体は胞子が成熟した時点で殻を破ってニョキニュキと数時間で生えてくる様子はとてもダイナミックで本当に面白いです。子実体の先端部の傘表面に黒緑色の粘液状の胞子があり、これがウンチのような臭いを発しています。その臭いにハエなどが誘われ、足に粘り気がある胞子を付けて飛んでいくと言うユニークな方法で子孫を増やしています。
 11月14日に今年最後の小学生招待の自然体験教室がありました。これで、「まなびの森」の外部向け行事は一応終了です。紅葉のあとほとんどの樹々が葉を落とした森は冬籠りの準備がほぼ整ったようですが、フォレストアークも事実上の冬籠り間近と言うことになります。11月29日朝、ついにフォレストアークがこの冬初めての薄っすらと雪化粧していました。

  • 田貫湖から見た綺麗な逆さ富士

  • 体長5㎜ほどのワタアブラムシの仲間(雪虫)

  • 色とりどりの紅葉

  • 赤く色づいたヒナウチワカエデ

  • 美しいミズナラの紅葉

  • 2ヶ月近く掛かって姿を現したスッポンタケ

  • この冬初めて薄っすら雪化粧したフォレストアーク(11/29)

ページの先頭へ戻る