まなびの森通信

まなびの森通信

自然あふれる富士山2合目の「まなびの森」フォレストアークから
四季折々のようすやボランティア活動についてお伝えします。
みなさん是非「まなびの森」へ足をお運びください。
お待ちしております。
富士山「まなびの森」フォレストアーク副館長・管理人
沢田明宏

【第170回】暑い夏となり、早くもヒグラシが鳴きはじめました!?

2019年 8月31日

■8月管理人日記

 例年になく長い梅雨がやっと明け、「まなびの森」にも本格的な夏が訪れました。そして、ヒグラシが鳴きはじめました。私にとっては初めての「まなびの森」での夏ですので、これが普通なのか、異常なのか判断がつきかねます。しかし、標高1,125mに位置するこの場所は平地と比べて気温は6~7℃低いです。
 さてそんな中、静岡の民放テレビ局が「まなびの森」の巨樹を紹介するコーナーの取材に来ました。「まなびの森」の長老とも言えるシナノキの巨木、大ケヤキ三兄弟などを紹介していただきました。
 クロアゲハが苔むした地面で水を吸い、メタリックな輝きの美しいオオセンチコガネが飛んできたり、夏本番な雰囲気です。先月紹介したツチアケビは8月末には早くもソーセージをぶら下げたような赤い実を付け、ススキも穂を伸ばしはじめました。
 クロ、ミヤマカラス、モンキなど数種類のアゲハ蝶や蜂たちがクサギの花の蜜を吸いに飛び交っています。クサギの花は辺り一面に独特の甘い薫りを漂わせています。晩夏の薫りとも言えるでしょう。
 夏至のころと比べると、日が落ちるのも1時間ほど早くなり、早くも秋の気配が漂いはじめました。

  • 「まなびの森」収録風景 シナノキにて

  • 「まなびの森」の長老ともいえるシナノキ

  • 大ケヤキ3兄弟 手前に2本、左奥にもう1本

  • 苔むし地面の水を吸いにやってきたクロアゲハ

  • 飛来したオオセンチコガネの1種 メタリックの輝き

  • ツチアケビの実 先月紹介した花とは別の株です

  • 辺り一面独特の甘い薫りを漂わせるクサギ 薫りに誘われてたくさんの蝶や蜂が飛来して蜜を吸いにきます。

【第169回】長~い梅雨がようやく明けました

2019年 7月31日

■7月管理人日記

 2ヶ月近くに及んだ今年の長梅雨がやっと7月28日に明けました。多雨と日照不足のせいでしょうか、毒があるので鹿が食べないために「まなびの森」でも林床にたくさん生えているバイケイソウが今年は花もつけないまま萎れ枯れてしまいました。去年と比べて雨量は1.3倍、逆に日射量(積算)は6割と言う7月でした。
 そんななか、ちょっと珍しい植物たちが見られました。葉緑素を持たず、従属栄養に頼る植物たちです。白いギンリョウソウや熱帯雨林の地表に咲く世界最大の花として有名なラフレシアは良く知られていますが、「まなびの森」にもそういう植物たちがたくさんあります。キヨスミウツボ、シャクジョウソウ、ランの仲間のツチアケビやキバナノショウキランなどです。
 また、平地より1ヶ月遅れでヒメシャラもたくさん花をつけました。大きく生長してからやっとたくさんの花をつけるようで、花が咲いている姿はなかなか見られませんが、地面にたくさんの花ガラが落ちているのがなんとも綺麗です。ヒメシャラはツルツルとした木肌で、シラカバとアオダモと合わせて3大木肌美人ともいうようです。
 梅雨の晴れ間にはアサギマダラがヒヨドリバナの蜜を吸いに訪れ、マタタビは花が咲いたと虫たちに知らせるために葉の一部を白くしています(葉の表面に空気をためて隙間ができて白く見える)。
 多様な生き方をする植物が多いと言うことは「まなびの森」が豊かな自然に覆われている一つのバロメーターだと言えるのではないでしょうか。

  • キヨスミウツボ アジサイの仲間の根に寄生

  • シャクジョウソウの花 葉緑素がない従属栄養植物

  • ツチアケビの花 ランの仲間でナラタケと言うキノコと共生している

  • ツチアケビの花をアップに ランの仲間だとよく判ります。

  • ヒメシャラの花と綺麗な幹 辺り一面が白くなるほど落ちている。

  • アサギマダラがヒヨドリバナの蜜を吸っている

  • マタタビの白い花 葉の表面が白く変色して、虫たちに開花をアピール

【第168回】新緑から深緑に 富士山麓も梅雨入りしました

2019年 6月29日

■6月管理人日記

 淡い若葉の緑が深い緑になり、「まなびの森」も梅雨に入りました。
 富士・箱根周辺のフォッサマグナ地帯の特有種サンショウバラが美しい花をつけました。そのあとは、梅雨のうっとおしい気分を振り払ってくれるかのように、ホオノキ、ヤブデマリ、ミズキ、ヤマボウシ、ガマズミ、ウツギなど爽やかな雰囲気を醸し出す白い花を咲かせる木々が次々と花を咲かせています。その中でもウツギは小学唱歌「夏は来ぬ」の歌のとおりに辺り一面に芳しい香りを漂わせています。
 梅雨のシトシト雨の中、モリアオガエルも頻繁に姿を現し、鳴き交わしています。また、周りのイタヤカエデやケヤキなどの樹上ではエゾハルゼミが賑やかに鳴いています。
 季節は着実に夏に向かっています。

  • 大輪の美しい花を咲かせるホウノキ

  • 霧が浮かび上がらせた蜘蛛の巣

  • 大輪の花のように見えるが実は集合花のヤブデマリ

  • 艶やかに咲いたサンショウバラ

  • コケの間に生えた小さな名もないキノコ

  • モリアオガエルの雌 先月、白い卵塊を生みました

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