自然あふれる富士山2合目の「まなびの森」フォレストアークから
四季折々のようすやボランティア活動についてお伝えします。
みなさん是非「まなびの森」へ足をお運びください。
お待ちしております。
富士山「まなびの森」フォレストアーク副館長・管理人
沢田明宏
■7月管理人日記
2ヶ月近くに及んだ今年の長梅雨がやっと7月28日に明けました。多雨と日照不足のせいでしょうか、毒があるので鹿が食べないために「まなびの森」でも林床にたくさん生えているバイケイソウが今年は花もつけないまま萎れ枯れてしまいました。去年と比べて雨量は1.3倍、逆に日射量(積算)は6割と言う7月でした。
そんななか、ちょっと珍しい植物たちが見られました。葉緑素を持たず、従属栄養に頼る植物たちです。白いギンリョウソウや熱帯雨林の地表に咲く世界最大の花として有名なラフレシアは良く知られていますが、「まなびの森」にもそういう植物たちがたくさんあります。キヨスミウツボ、シャクジョウソウ、ランの仲間のツチアケビやキバナノショウキランなどです。
また、平地より1ヶ月遅れでヒメシャラもたくさん花をつけました。大きく生長してからやっとたくさんの花をつけるようで、花が咲いている姿はなかなか見られませんが、地面にたくさんの花ガラが落ちているのがなんとも綺麗です。ヒメシャラはツルツルとした木肌で、シラカバとアオダモと合わせて3大木肌美人ともいうようです。
梅雨の晴れ間にはアサギマダラがヒヨドリバナの蜜を吸いに訪れ、マタタビは花が咲いたと虫たちに知らせるために葉の一部を白くしています(葉の表面に空気をためて隙間ができて白く見える)。
多様な生き方をする植物が多いと言うことは「まなびの森」が豊かな自然に覆われている一つのバロメーターだと言えるのではないでしょうか。
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キヨスミウツボ アジサイの仲間の根に寄生
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シャクジョウソウの花 葉緑素がない従属栄養植物
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ツチアケビの花 ランの仲間でナラタケと言うキノコと共生している
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ツチアケビの花をアップに ランの仲間だとよく判ります。
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ヒメシャラの花と綺麗な幹 辺り一面が白くなるほど落ちている。
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アサギマダラがヒヨドリバナの蜜を吸っている
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マタタビの白い花 葉の表面が白く変色して、虫たちに開花をアピール
■6月管理人日記
淡い若葉の緑が深い緑になり、「まなびの森」も梅雨に入りました。
富士・箱根周辺のフォッサマグナ地帯の特有種サンショウバラが美しい花をつけました。そのあとは、梅雨のうっとおしい気分を振り払ってくれるかのように、ホオノキ、ヤブデマリ、ミズキ、ヤマボウシ、ガマズミ、ウツギなど爽やかな雰囲気を醸し出す白い花を咲かせる木々が次々と花を咲かせています。その中でもウツギは小学唱歌「夏は来ぬ」の歌のとおりに辺り一面に芳しい香りを漂わせています。
梅雨のシトシト雨の中、モリアオガエルも頻繁に姿を現し、鳴き交わしています。また、周りのイタヤカエデやケヤキなどの樹上ではエゾハルゼミが賑やかに鳴いています。
季節は着実に夏に向かっています。
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大輪の美しい花を咲かせるホウノキ
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霧が浮かび上がらせた蜘蛛の巣
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大輪の花のように見えるが実は集合花のヤブデマリ
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艶やかに咲いたサンショウバラ
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コケの間に生えた小さな名もないキノコ
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モリアオガエルの雌 先月、白い卵塊を生みました
■5月管理人日記
若葉の緑が目に眩しい季節を迎え、「まなびの森」が光輝く季節となりました。
満開のマメザクラが散るころ可愛らしいフデリンドウが咲き、ヤマエンゴサク、ヤマシャクヤク、サラサドウダンと次々に草木が綺麗に着飾っています。葉緑素を持たない寄生植物のギンリョウソウやヤマウツボも咲いています。キビタキやエナガ、オオルリなどの小鳥たちがさえずり、新緑に美しい音色を奏でています。
社会貢献活動として富士宮市の小中学校生を招いての自然体験教室が始まりました。5月は6校550人余りの児童がプロのインストラクターによる案内で「まなびの森」の自然と触れ合い、自然の大切さ、森と人との関わり合いを学ぶ有意義で貴重な体験をしました。
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5月初めから小さなフデリンドウが可憐に咲き始めました。
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10連休明けに咲き始めたヤマシャクヤクの華麗な花。富士山スカイライン周辺ではマニアによる盗難で個体数が著しく減っているようです。
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5月20日過ぎにやっと咲き始めたサラサドウダン。花の向こうには富士山が写っているはずでしたが、バッコヤナギの葉が遮ってしまい…。