まなびの森通信

まなびの森通信

自然あふれる富士山2合目の「まなびの森」フォレストアークから
四季折々のようすやボランティア活動についてお伝えします。
みなさん是非「まなびの森」へ足をお運びください。
お待ちしております。
富士山「まなびの森」フォレストアーク副館長・管理人
沢田明宏

【第172回】初冬

2019年10月30日

■10月管理人日記

 10月も中旬をすぎると「まなびの森」は早い冬の訪れをヒシヒシと感じるようになりました。昼間の気温が11~12℃と正に冬の気温となっています。遅れていた富士山の初冠雪の便りも10月22日に発表されました。
 10月後半は台風や大雨が続きました。今回の台風と記録的大雨により日本各地で被害に遭われた方々が少しでも早く日常の生活を取り戻せることを切に願ってやみません。
 ここ「まなびの森」では幸い大きな被害には遭わずに済みましたが、強風でイトマキイタヤカエデが一本ネジ折れました。そして、その2週間後には完全に倒れました。樹齢100年ほどの樹木が台風で突然死を迎えたことになります。
 何年も前に倒れ苔むした木にツキヨタケが沢山発生しているのをみつけました。見つけた時はもうキノコが若くなかったので残念ながら光る様子は確認できませんでした。ツキヨタケはヒラタケやシイタケに似ているため良く誤食されますが、れっきとした毒キノコです。軸を縦に切ると根元部分に黒っぽいシミがあるのが一番わかりやすい見分け方です。ナメコの親戚にあたるヌメリスギタケの仲間がテラテラと粘り気のある傘を広げていたりしています。雨上がりに見るキノコ達やコケ達は殊更に生気が漲っているように思えます。
 10月末には「まなびの森」のすぐ隣の「静岡県立富士山麓山の村」の閉所式が執り行われました。31年運営を続けてこられ「まなびの森」とも長くご近所でしたが、諸般の難しい事情から閉鎖が決まり来年春からは解体・撤去工事が始まるそうです。数少ないお隣さんがいなくなるのはとても寂しい限りです。
 だんだんと「まなびの森」の樹々が葉を落とし始めたので、フォレストアークや森の中が明るくなってきました。冬がすぐそこに来ているのをヒシヒシと感じます。

  • 初冠雪から数日後の富士山(裾野市で)

  • 台風で折れたイトマキイタヤカエデ

  • 2週間後には完全に倒れました。

  • ツキヨタケ(毒)が苔むした倒木に沢山発生していました

  • ヌメリスギタケの仲間も別の倒木に沢山発生しました。

  • 先月は鮮やかなオレンジ色だったマスタケが固く、脆く、白くなっています

  • 秋の花代表、リンドウ

  • 31年の幕を閉じるお隣の「山の村」

【第171回】夏がすぎ、秋のおとずれ

2019年 9月30日

■9月管理人日記

 標高1,125mの「まなびの森」では秋の訪れが早いです。ツクツクホウシが鳴き始め、ススキが穂を出し、ヤマシャクヤクの大きな実が割けて色鮮やかな果肉と種子を見せています。ギンリョウソウが今年2回目の花を咲かせてると思っていましたところ、実は種類が違うそうです。アキノギンリョウソウとか、ギンリョウソウモドキと言う種類だそうです。そう言えば、花の形態がギンリョウソウとは違います。葉緑素のない半透明な花の群落はうつむき加減で少し不気味さを漂わせています。
 夏の間は葉を落としていたオニシバリが新芽を芽吹かせ始めました。冬の間は葉をつけ、夏に落葉すると言う珍しい冬緑性落葉樹です。ジンチョウゲ科のこの木は春に黄色の小さな花を咲かせます。花の形と微かな花の香りもジンチョウゲに似ています。落葉広葉樹の森で他の樹木が葉を落としている冬の間にセッセと光合成して栄養を貯めているのかと思うとなんだかいじらしいような、愛おしさを感じます。
 苔むした倒木に色鮮やかなマスタケが生えました。サルノコシカケの仲間で、その鮮やかな赤みがかったオレンジ色が魚の鱒(マス)を連想させることでついた名前で、出始めの軟らかいものは食用になるそうです。
 9月下旬から再び小学生対象の自然体験教室が始まり、社員ボランティア活動も始まりました。
 梅雨前から続いていた高い湿度で霧がよく発生していましたが、カラッとした爽やかな空気に包まれて霧もめっきり少なくなり富士山もその美しい姿をよく見せてくれるようになりました。

  • 朝日をうけて光り輝くススキの穂

  • ヤマシャクヤクの実

  • その莢が割けて色鮮やかな果肉と種が現れる

  • 秋の訪れと共に新緑となるオニシバリ

  • 秋に咲くアキノギンリョウソウ

  • 苔むした倒木に生えた色鮮やかなマスタケ(鱒茸)

  • 秋の自然体験教室が始まりました

【第170回】暑い夏となり、早くもヒグラシが鳴きはじめました!?

2019年 8月31日

■8月管理人日記

 例年になく長い梅雨がやっと明け、「まなびの森」にも本格的な夏が訪れました。そして、ヒグラシが鳴きはじめました。私にとっては初めての「まなびの森」での夏ですので、これが普通なのか、異常なのか判断がつきかねます。しかし、標高1,125mに位置するこの場所は平地と比べて気温は6~7℃低いです。
 さてそんな中、静岡の民放テレビ局が「まなびの森」の巨樹を紹介するコーナーの取材に来ました。「まなびの森」の長老とも言えるシナノキの巨木、大ケヤキ三兄弟などを紹介していただきました。
 クロアゲハが苔むした地面で水を吸い、メタリックな輝きの美しいオオセンチコガネが飛んできたり、夏本番な雰囲気です。先月紹介したツチアケビは8月末には早くもソーセージをぶら下げたような赤い実を付け、ススキも穂を伸ばしはじめました。
 クロ、ミヤマカラス、モンキなど数種類のアゲハ蝶や蜂たちがクサギの花の蜜を吸いに飛び交っています。クサギの花は辺り一面に独特の甘い薫りを漂わせています。晩夏の薫りとも言えるでしょう。
 夏至のころと比べると、日が落ちるのも1時間ほど早くなり、早くも秋の気配が漂いはじめました。

  • 「まなびの森」収録風景 シナノキにて

  • 「まなびの森」の長老ともいえるシナノキ

  • 大ケヤキ3兄弟 手前に2本、左奥にもう1本

  • 苔むし地面の水を吸いにやってきたクロアゲハ

  • 飛来したオオセンチコガネの1種 メタリックの輝き

  • ツチアケビの実 先月紹介した花とは別の株です

  • 辺り一面独特の甘い薫りを漂わせるクサギ 薫りに誘われてたくさんの蝶や蜂が飛来して蜜を吸いにきます。

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