まなびの森通信

まなびの森通信

自然あふれる富士山2合目の「まなびの森」フォレストアークから
四季折々のようすやボランティア活動についてお伝えします。
みなさん是非「まなびの森」へ足をお運びください。
お待ちしております。
富士山「まなびの森」フォレストアーク副館長・管理人
沢田明宏

【第173回】本格的な冬となってきました

2019年11月30日

■11月管理人日記

 11月に入ると気温はドンドン下がり、日中でも一桁の6~7℃と言う日も多く真冬と言った様相になってきました。雪虫と通称されるワタアブラムシの仲間(北海道のトドノネオオワタムシが有名)がフワフワと飛び交い、「まなびの森」辺りの初雪も近いのかも知れません。体長5㎜ほどの小さなこの虫は躰から分泌した糸状のロウ分があり、まるで綿毛で覆われているように見えます。
 11月10日過ぎには紅葉も綺麗にみられるようになりました。イロハカエデ、ヒナウチワカエデ、ミズキなどの赤、イタヤカエデ、ケヤキなどの黄色、ミズナラ、ヒメシャラの茶色と様々な色が森を彩っています。
 9月の終わりに苔むした倒木に丸い卵のようなもの(スッポンタケ?の幼生)が発生しましたが、なかなかキノコになりませんでした。寒さで成長が遅くなり、この卵の状態まま萎んでしまうかと思っていると、ついに姿を現しました。やはりスッポンタケでした。残念ながら、成長したキノコをタイムリーに写真に収めることはできませんでした。卵の中でギュッと小さく折りたたまれた状態の子実体は胞子が成熟した時点で殻を破ってニョキニュキと数時間で生えてくる様子はとてもダイナミックで本当に面白いです。子実体の先端部の傘表面に黒緑色の粘液状の胞子があり、これがウンチのような臭いを発しています。その臭いにハエなどが誘われ、足に粘り気がある胞子を付けて飛んでいくと言うユニークな方法で子孫を増やしています。
 11月14日に今年最後の小学生招待の自然体験教室がありました。これで、「まなびの森」の外部向け行事は一応終了です。紅葉のあとほとんどの樹々が葉を落とした森は冬籠りの準備がほぼ整ったようですが、フォレストアークも事実上の冬籠り間近と言うことになります。11月29日朝、ついにフォレストアークがこの冬初めての薄っすらと雪化粧していました。

  • 田貫湖から見た綺麗な逆さ富士

  • 体長5㎜ほどのワタアブラムシの仲間(雪虫)

  • 色とりどりの紅葉

  • 赤く色づいたヒナウチワカエデ

  • 美しいミズナラの紅葉

  • 2ヶ月近く掛かって姿を現したスッポンタケ

  • この冬初めて薄っすら雪化粧したフォレストアーク(11/29)

【第172回】初冬

2019年10月30日

■10月管理人日記

 10月も中旬をすぎると「まなびの森」は早い冬の訪れをヒシヒシと感じるようになりました。昼間の気温が11~12℃と正に冬の気温となっています。遅れていた富士山の初冠雪の便りも10月22日に発表されました。
 10月後半は台風や大雨が続きました。今回の台風と記録的大雨により日本各地で被害に遭われた方々が少しでも早く日常の生活を取り戻せることを切に願ってやみません。
 ここ「まなびの森」では幸い大きな被害には遭わずに済みましたが、強風でイトマキイタヤカエデが一本ネジ折れました。そして、その2週間後には完全に倒れました。樹齢100年ほどの樹木が台風で突然死を迎えたことになります。
 何年も前に倒れ苔むした木にツキヨタケが沢山発生しているのをみつけました。見つけた時はもうキノコが若くなかったので残念ながら光る様子は確認できませんでした。ツキヨタケはヒラタケやシイタケに似ているため良く誤食されますが、れっきとした毒キノコです。軸を縦に切ると根元部分に黒っぽいシミがあるのが一番わかりやすい見分け方です。ナメコの親戚にあたるヌメリスギタケの仲間がテラテラと粘り気のある傘を広げていたりしています。雨上がりに見るキノコ達やコケ達は殊更に生気が漲っているように思えます。
 10月末には「まなびの森」のすぐ隣の「静岡県立富士山麓山の村」の閉所式が執り行われました。31年運営を続けてこられ「まなびの森」とも長くご近所でしたが、諸般の難しい事情から閉鎖が決まり来年春からは解体・撤去工事が始まるそうです。数少ないお隣さんがいなくなるのはとても寂しい限りです。
 だんだんと「まなびの森」の樹々が葉を落とし始めたので、フォレストアークや森の中が明るくなってきました。冬がすぐそこに来ているのをヒシヒシと感じます。

  • 初冠雪から数日後の富士山(裾野市で)

  • 台風で折れたイトマキイタヤカエデ

  • 2週間後には完全に倒れました。

  • ツキヨタケ(毒)が苔むした倒木に沢山発生していました

  • ヌメリスギタケの仲間も別の倒木に沢山発生しました。

  • 先月は鮮やかなオレンジ色だったマスタケが固く、脆く、白くなっています

  • 秋の花代表、リンドウ

  • 31年の幕を閉じるお隣の「山の村」

【第171回】夏がすぎ、秋のおとずれ

2019年 9月30日

■9月管理人日記

 標高1,125mの「まなびの森」では秋の訪れが早いです。ツクツクホウシが鳴き始め、ススキが穂を出し、ヤマシャクヤクの大きな実が割けて色鮮やかな果肉と種子を見せています。ギンリョウソウが今年2回目の花を咲かせてると思っていましたところ、実は種類が違うそうです。アキノギンリョウソウとか、ギンリョウソウモドキと言う種類だそうです。そう言えば、花の形態がギンリョウソウとは違います。葉緑素のない半透明な花の群落はうつむき加減で少し不気味さを漂わせています。
 夏の間は葉を落としていたオニシバリが新芽を芽吹かせ始めました。冬の間は葉をつけ、夏に落葉すると言う珍しい冬緑性落葉樹です。ジンチョウゲ科のこの木は春に黄色の小さな花を咲かせます。花の形と微かな花の香りもジンチョウゲに似ています。落葉広葉樹の森で他の樹木が葉を落としている冬の間にセッセと光合成して栄養を貯めているのかと思うとなんだかいじらしいような、愛おしさを感じます。
 苔むした倒木に色鮮やかなマスタケが生えました。サルノコシカケの仲間で、その鮮やかな赤みがかったオレンジ色が魚の鱒(マス)を連想させることでついた名前で、出始めの軟らかいものは食用になるそうです。
 9月下旬から再び小学生対象の自然体験教室が始まり、社員ボランティア活動も始まりました。
 梅雨前から続いていた高い湿度で霧がよく発生していましたが、カラッとした爽やかな空気に包まれて霧もめっきり少なくなり富士山もその美しい姿をよく見せてくれるようになりました。

  • 朝日をうけて光り輝くススキの穂

  • ヤマシャクヤクの実

  • その莢が割けて色鮮やかな果肉と種が現れる

  • 秋の訪れと共に新緑となるオニシバリ

  • 秋に咲くアキノギンリョウソウ

  • 苔むした倒木に生えた色鮮やかなマスタケ(鱒茸)

  • 秋の自然体験教室が始まりました

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