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樹木としてのスギ
日本を代表する針葉樹で、学名では「日本の隠された財産」という意味のラテン語「Cryptomeria japonica」が使われています。北海道の南部以南の日本全土に幅広く分布しており、東北地方の一部や鹿児島県屋久島は天然スギの産地として有名です。スギは日本一樹高が高くなる木で、大きいものでは高さが50m以上。また、樹齢2000~3000年を超える木が各地にある長寿の木です。語源はまっすぐ伸びるという意味の「直ぐなる木」からきており、直線的で繊細な木目が美しく、やわらかな手触りも特徴。加工しやすいため、建築材はもちろん家具などに多く用いられています。

※スギは、原産国以外でも生育に適した地域で植林されている場合があります。
部材としてのスギ
スギは、柔らかな肌ざわりと明瞭な木目が特徴。
赤と白が織りなす独特の風合いは、住まいに自然の豊かな表情を添えます。
時とともに素朴な温もりや味わいが深まり、心地よいやすらぎを与えてくれます。

辺材と心材の差が極めて明瞭。辺材は白く、心材は淡い赤から赤褐色まであり、自然が織りなすコントラストを楽しめます。

無垢フローリングは使うほどに味わいが深くなり、スギの明瞭な木目が際立ちます。空間に温かみや安心感を与えます。
日本の建築を支え、
日本人の心に深く根ざしてきたスギ。
現代の感性が息づく公共空間から、
神聖な時を刻む寺院まで、温かな包容力は人々の営みに寄り添い続けています。
スギの木材を巧みに取り入れた設計が特徴的な石川県立図書館。控え目で美しい木目と色合いや、スギの調湿効果なども相まって、心地よい室内環境を実現。読書の時間を、より豊かなひとときに変えてくれる空間となっています。

写真提供:石川県立図書館
内藤廣氏の設計により2006年12月に開業した、JR九州の日向市駅の駅舎。その温もりあふれる木の屋根には、耳川流域の宮崎県産のスギ材をふんだんに使用。地域が育んだスギの文化を表現する理念は世界からも高く評価されており、鉄道に関する国際デザインコンペティション「ブルネルアワード2008」では駅舎としては日本初の快挙となる最優秀賞を受賞しました。

JR日向市駅
写真提供:内藤廣建築設計事務所
静岡県袋井市にある法多山尊永寺。その広大な境内のいくつかの建物で、スギが使用されています。例えば法多山開創1300年記念事業として建立された愛染堂。樹齢数百年を超える法多山境内で育った杉の古材が心柱に使われています。そのほか、真言宗の宗祖、弘法大師をまつる大師堂や貴賓室である一乗庵などにおいてもスギ材が用いられており、美しい景観をつくり出しています。

法多山尊永寺 愛染堂
真っ直ぐで力強い木目と、
赤みを帯びた温かみのある色合い。
スギが持つ柔らかな質感と特有の香りが、
空間全体をやさしく包み込み、
訪れる人の心を解きほぐします。
日本固有の樹木として、
古くから暮らしに深く寄り添ってきたスギ。
心身を癒やす香りの魅力、
酒樽や美しい音響空間としての魅力など、
多彩な価値をご紹介します。
屋久島に自生する日本最古級のスギ「縄文杉」。縄文時代から生きているという推定樹齢(約4000〜7200年)や、激しく波打つ幹の造形が縄文土器に似ていることからその名が付けられたと言われています。中心部は空洞化しており、内側から採取した資料の化学的計測値は約2170年。江戸時代に「材として利用できない」と切り残された凸凹の巨木は、今も圧倒的な生命力を放っています。

スギの香りには「フィトンチッド」と呼ばれる成分が含まれており、まるで森林浴をしているかのようなリラックス効果をもたらします。副交感神経を優位にして緊張を和らげ、深い呼吸を促して安眠をサポートするだけでなく、抗菌・防虫作用によってカビやダニの繁殖を抑える効果もあります。

香りがよく木目が均一なスギは、古くから日本酒の樽材に最適とされてきました。木材が酒の香気を引き立て、色調に深みを与えるためです。酒樽の側板を束ねた「樽丸(たるまる)」は奈良県の吉野地方が主な産地として知られています。また、新酒ができると酒蔵の軒先に「杉玉」を飾る習わしがあるなど、スギと日本の酒文化は切っても切れない深い絆で結ばれています。

スギには音の反響を柔らかくする性質があり、和楽器の胴部分やコンサートホールなどの音響空間にも使われています。スギが持つ軽さや繊維方向の柔軟性、適度な内部摩擦といった特性が、温かみのある音響空間をつくり出します。中程度の吸音性を持ち、音をほどよく吸収しながらも、反射する音に心地よい“まろやかさ”を与えてくれます。

(C) BAUHAUSNEO
※「スギの雑学」に使用されている画像はイメージです。