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樹木としてのヒノキ
ヒノキは、日本や台湾など東アジアの限られた地域に分布するヒノキ科の針葉樹です。主に日本の山地に生育し、条件のよい場所では樹高30~40mにも達する大木に育ちます。まっすぐに伸びる幹が特徴で、古くから日本の建築文化を支えてきました。日本書紀にもその名が記されており、古代から建築材として重用。特に優れた耐久性を持つことから、伊勢神宮や世界遺産・法隆寺といった歴史的建築にも用いられています。年月を経てもその強さと美しさを保つヒノキは長年日本で愛されてきた木です。

※ヒノキは、原産国以外でも生育に適した地域で植林されている場合があります。
部材としてのヒノキ
淡い黄白色の木肌や、爽やかな香りで人を惹きつけるヒノキ。
年輪が比較的はっきりしており、きめが細かくなめらかな質感が特徴です。
また、湿気に強く腐りにくい性質から、耐久性に優れた木材として知られています。

針葉樹であることから、木目は直線的で淡い色をしています。
1年程度で色の変化がわかるほど、経年変化を楽しめます。

白に近い色の木肌は光沢感があり、空間に高級感を与えます。ヒノキならではの香りは、リラックス効果も得られます。
古くから神社建築に用いられてきたヒノキ。
伊勢神宮や富士山を望む宿泊施設、
木造の大浴場など
時代を超えて
日本らしい佇まいを
形づくる木として受け継がれています。
三重県伊勢市に位置する伊勢神宮。その建築様式は日本古来の建築様式である神明造と呼ばれ、ヒノキの素木でつくられています。その姿は、簡素にして直線的。ヒノキの自然の美しさが最大限に引き出され、いきいきと輝いています。

写真提供:神宮司庁
「富士山リトリートMUKU ten.舎 富士宮」は、富士山本宮浅間大社や静岡県富士山世界遺産センターを一望できる絶好のロケーションに位置する宿泊施設。建物の構造体や内外装には、富士ヒノキをはじめとする静岡県産の木材を使用しています。柱や外壁、窓、扉、天井、床に至るまで木材を取り入れた空間は、木の温もりに抱かれるような心地よさ。また、プライベートサウナ付きのヒノキ風呂も備えられており、ヒノキの天然アロマの香りに囲まれて過ごすことができます。

写真提供:富士山リトリートMUKU ten.舎 富士宮
東松島市立宮野森小学校は、校舎と屋内運動場をともに木造で建てられた、宮城県初の小学校です。日常の学びの場であると同時に、有事の際には避難所としての役割も担い、復興のシンボルとして計画されました。校舎には約5000本の無垢材を使用し、土台にはヒノキを採用。校内に足を踏み入れると、木の香りと豊かな木目の表情が広がり、空間全体をやさしく包み込みます。また、東北産材を中心に活用することで、地域の森林資源を生かし、林業の活性化にもつながっています。

宮城県東松島市立宮野森小学校
淡くやさしい色合いの木肌は、
空間に凛とした静けさをもたらします。
端正な木目が生み出す穏やかな表情や
特有の香りが、空間をやさしく整えます。

ヒノキの価値は、建築材としてだけでなく、
香りや言葉、そして暮らしの知恵としても
今に受け継がれています。
古くからさまざまな日本文化を形成する、
ヒノキにまつわる雑学を紹介します。
ヒノキという名前の由来には、いくつかの説があります。木を擦り合わせて火を起こしたことから「火の木」と呼ばれたという説や、天照大神の建物に使われることから「日の木」とされたという説など。古い文献では「真木(まき)」と呼ばれることもあり、古くから大切に扱われてきた木であることがわかります。

「晴れの舞台」や「大きな活躍の場」を意味する「檜舞台」という言葉は、能舞台などにヒノキが使われていたことに由来します。江戸時代、ヒノキは最高級の建材とされ、庶民の芝居小屋ではなく、幕府公認の一流芸能の舞台に使われました。そのため、「檜舞台」に立つということは、大きな見せ場である意味になったそうです。

川越氷川神社 舞殿
ヒノキの香りに含まれる成分「ヒノキチオール」には、優れた抗菌・消臭作用があるといわれています。森林浴と同様のリラックス効果をもたらすその香りは、心身を癒やすアロマや入浴剤などにも幅広く活用されています。

ヒノキには、ダニやカビの繁殖を抑える成分が含まれています。そのため住宅の床材や押し入れの板などにも使われてきました。ヒノキの精油を用いた防ダニシートや、木片を衣類の側に置く天然の防虫剤など、古くからその働きが生活の中で活かされています。

※「ヒノキの雑学」に使用されている画像はイメージです。