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樹木としてのタモ
日本では主に北海道や本州北中部に分布し、海外ではロシアや中国、朝鮮半島などに生育しているモクセイ科の落葉広葉樹。特に水気の多い谷沿いの湿地を好んで自生することから、日本では「谷地タモ」の名でも親しまれています。樹木の中でも非常に大きく育つのが特徴で、最大で高さ30m、幹の太さは1m以上にまで達します。枝先には数枚の小さな葉が羽のように左右対称に並ぶ「羽状複葉」という葉を茂らせます。木材としては強固かつ非常に高い弾力性が特徴。その優れた強度としなやかさを活かし、建材や家具のほか、スキー板やラケットといった高い衝撃吸収性が求められるスポーツ用品の素材としても広く重宝されています。

※タモは、原産国以外でも生育に適した地域で植林されている場合があります。
部材としてのタモ
タモは、力強い木目と美しい白さが魅力。
明るく空間を彩り、住まいに心地よい開放感を与えます。
また、強靭さの中にあるしなやかな質感は、時を重ねるごとに暮らしに馴染んでいきます。

鮮明な木目の中に縮み杢・玉杢などの個性的な杢が現れることが特徴。幹外側の白みがかった淡色から中心部に進むにつれて、くすんだ褐色へと変化していく美しいグラデーションが魅力です。

スプーンで削ったような凹凸を表面に施したスプーンカット。タモ材の淡い色味とハッキリとした木目に動きを与えます。素足で歩くなめらかな肌触りと凹凸感が心地よく、触れるたびにやさしい質感に癒されます。
北海道の駅空間、上質な和食料理店、
静かな時が流れる喫茶店。
心をほどくやさしい魅力に溢れたタモは、
あらゆる場所で人のやすらぎを
つくり出しています。
北海道旭川市にある駅舎「旭川駅」の内装 には、「北海道広葉樹の貴公子」ともいわれる旭川のタモがふんだんに使われています。 木工産業が盛んな旭川市を象徴するデザインであり、タモの温かみを活かした新しい駅空間です。

旭川駅の内装
※JR北海道許諾済
石川県金沢駅のすぐ近くにある「SOKI KANAZAWA」。金沢の素材や伝統技術を取り入れた、まちとのつながりを感じられるホテルです。その1Fに位置する和食料理店「空潮/空汐(そらしお)」の象徴となっているのが、天然木のタモ材による約8mもの一枚板カウンター。栗の木の柱とともに、タモの力強くも清らかな木目が空間に静謐な品格を添えています。素材本来の力強さと職人技が上質なひとときを演出します。

SOKI KANAZAWA
写真提供:DAISUKE SHIMA
豆本来の美味しさを追求した珈琲を提供する、京都三条河原町の喫茶店「喫茶葦島」。その広々としたカウンター席には、タモ材が使用されています。丁寧に焙煎された香味豊かな珈琲の味わいと、タモのあたたかさや柔らかな肌触りが調和し、特別なやすらぎを与えてくれます。

喫茶葦島
陽光によって表情を変える、タモ特有の繊細なグラデーションやくっきりとした木目。
それらが空間に心地よいリズムを与え、
穏やかなひとときを演出します。
あらゆる語源を持ち、
時には神聖な木として尊ばれてきたタモ。
現在も多くの人をその美しさで魅了する、
タモにまつわる雑学を紹介していきます。
タモという名前にはいくつかの由来があるとされています。折れずにたわむ性質からその名がついたとされる説や、タモノキの別名のタブノキ(クスノキ科)の「タブ」から転じたという説も。この「タブ」は、朝鮮語で丸木舟を意味する「t’on-bai」に由来するといわれています。多くの木に「タモ」の名がついているのは、こうしたさまざまな文化的背景があるからかもしれません。

タモの木は、アイヌの人々にとって崇高な存在と捉えられてきました。村の守り神であるフクロウが止まる木がヤチダモであるという伝説や、タモでつくった丸木舟で漁に出ると大漁になるという言い伝えがあるなど、アイヌ文化において神聖な樹種として古くから崇められてきたのです。

ヤチダモには、個性的な「杢」が現れることがあります。「杢」とは、木材の表面に現れる模様のうち、特に装飾的な価値が高い希少な紋様のこと。大きな同心円状の模様を描く「玉杢」や、波状や小皺のような細い筋目が現れる「縮杢」は、貴重なものとして珍重されてきました。北海道庁旧本庁舎の長官室のドアにもヤチダモの杢が使用されており、その気品ある佇まいは、かつての権威を今に伝えています。

タモといえば一般的にヤチダモを指しますが、混同される樹種があります。それが、シオジ、アオダモ、トネリコです。特にヤチダモとシオジは、製材品になるとプロでも見分けがつかないほど似通っています。しかし、シオジは取れる量が減り、現在シオジとして出回っている材のほとんどは、実はヤチダモであるといわれています。

※「タモの雑学」に使用されている画像はイメージです。