まなびの森通信

まなびの森通信

自然あふれる富士山2合目の「まなびの森」フォレストアークから
四季折々のようすやボランティア活動についてお伝えします。
みなさん是非「まなびの森」へ足をお運びください。
お待ちしております。
富士山「まなびの森」フォレストアーク副館長・管理人
沢田明宏

【第207回】日に日に秋の訪れを感じます

2022年 9月30日

■9月管理人日記

 9月に入ると雨が多くなり、日に日に秋らしくなっていきます。
 その長雨に誘われるように、普段は姿を見せないアズマヒキガエルがフォレストアークの傍に現れました。
 今年は都会の公園などで猛毒のカエンタケが発生して新聞、テレビで話題になっています。「まなびの森」では昨年数ヶ所で発生したので、今年もナラ枯れを起こしたミズナラの根元を中心に探した結果、1ヶ所でその色鮮やかで毒々しい姿を見つけました。触るだけでも皮膚が爛れる恐れがあるので、どこかで見つけても決して触らないようにしてください。
 森の落ち葉の間から細長いマッチか線香花火のようなものが立ち上がっています。その根元にはカメムシの死骸があるので、冬虫夏草の仲間のカメムシタケだとわかります。
 地面に7~8㎝の穴が開いていて、辺りにハチの巣の残骸が散らばっています。猛禽類のハチクマが好物のクロスズメバチ(通称ジバチ)の巣を襲った痕です。穴の中を覗き込むと
黒白縞のハチとその巣が見えます。ハチクマはスズメバチなどの巣を襲撃し、ハチの幼虫や蛹(サナギ)を食べます。今年「まなびの森」ではハチクマによる襲撃痕を5~6ヶ所見つけました。
 9月も終わりが近づくと、秋の草花が咲きはじめます。イヌショウマ、シロヨメナ、アズマレイジンソウ、トリカブトなど。その中でも、シカが好まないシロヨメナは森の中のアチコチに沢山花を咲かせています。

  • 長雨に誘われるように現れたアズマヒキガエル

  • 今年も猛毒のカエンタケが発生しました 手に触れるだけでも皮膚が爛れる恐れあり

  • カメムシから生えた冬虫夏草の仲間、カメムシタケ

  • 猛禽類のクマタカに襲撃されたクロスズメバチの巣、巣の残骸が散らばっています

  • クロスズメバチの巣のアップ

  • ブナの実

  • 試験管ブラシのような花を咲かせるイヌショウマ

  • シロヨメナ、なぜかシカが食べないので「まなびの森」でも増えています

【第206回】日に日に秋らしくなってきました

2022年 8月31日

■8月管理人日記

 今年の8月はシトシト雨が降ったり、霧がかかったりとスッキリしない日が多かったです。その所為か、「フォレストアーク」の玄関先には何回もイヌセンボンタケが発生しました。例年ですと、梅雨時に1~2回発生するだけですが、今年は5~6回発生しました。このイヌセンボンタケ今はナヨタケ科に分類されていますが、発生して1日で消滅してしまうこともあって以前はヒトヨタケ(一夜茸)科に分類されていました。
 今年は都会の公園などで猛毒のカエンタケがあちこちで発生しているとニュースで話題になっています。「まなびの森」でも昨年数ヶ所のナラ枯れしたミズナラの根元で発生したので、今年も注意して見廻っていますが幸い見かけません。色鮮やかな朱色をしたカエンタケは素手で触るだけでも皮膚が爛れることがあるそうです。「きれいなキノコだ」と触ったりしないように皆さんも十分気を付けてください。
 8月初めには早くもアカトンボの飛んでいるのを見かけ、8月中旬にはヒグラシに代わってツクツクホウシが鳴きはじめました。そして、8月最後の週になってススキが穂を伸ばしてきました。
 晴れると日差しは強く暑いですが、日に日に秋らしくなってきています。

  • フォレストアーク玄関先に発生したイヌセンボンタケ 1日で消滅します

  • 猛毒のカエンタケ 宝石サンゴのような美しさ、でも触らないで!(昨年の写真)

  • 里では稲穂が色づき、山ではススキが穂を伸ばしています

【第205回】早々と梅雨明けしたものの...

2022年 7月31日

■7月管理人日記

 6月末にはやばやと梅雨明けを迎えました。しかし、その後ぐずついた天候が続き、戻り梅雨のような日が続きました。その間はエゾハルゼミが鳴いていましたが、カラッと晴れた7月中旬のある日ヒグラシの涼やかな清涼感のある鳴き声に入れ替わりました。夏本番の到来です。
 林床に黄緑色で目立ちにくいが、かわいらしいクモキリソウ(ランの仲間)が見られます。
 そして、菌従属栄養の無葉ランのキバナノショウキランが数ヶ所で咲きました。同じく、ナラタケ菌と共生している菌従属栄養ランのツチアケビも咲いています。こう言った無葉ランの仲間は自分では光合成をしません。土壌に棲んでいる特定の菌類(ツチアケビの場合はナラタケ菌)と共生関係があって栄養をもらっていますので、栽培は不可能に近いくらい非常に難しいです。
 春先、「まなびの森」で一番初めに花を咲かせたオニシバリが真っ赤な実を熟させています。ツルマサキがたくさんの小さな花を咲かせているので、秋には野鳥の格好のエサとなる赤い実を沢山つけてくれることでしょう。
 鮮やかな朱色のタマゴタケが人目を惹きます。ヨーロッパでは「食菌の王様」とも称される美味しいキノコです。もう1つ紹介したいキノコは、2年ぶりに見かけたのがミミブサタケです。チャワンタケの仲間で、息を吹きかけたり、小枝で突っついたりして刺激を与えるとホヮッシュッ~と白い胞子を吹かせます。
 「まなびの森」は夏の真っ盛りとなりました。

  • 黄緑色で目立たないが、かわいらしい花を咲かせるクモキリソウ

  • 菌従属栄養の無葉ラン、キバナノショウキラン

  • キバナノショウキランの花をアップ

  • ツチアケビも無葉ランです

  • ツチアケビの花をアップで

  • 早春「まなびの森」で一番に花を咲かせたオニシバリの実はまるで宝石サンゴのよう

  • ツルマサキの花、秋には小鳥たちの格好のエサとなる実を沢山つけます

  • 色鮮やかな朱色が目立つタマゴタケ

  • ウサギの耳が林立しているようなミミブサタケ

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