自然あふれる富士山2合目の「まなびの森」フォレストアークから
四季折々のようすやボランティア活動についてお伝えします。
みなさん是非「まなびの森」へ足をお運びください。
お待ちしております。
富士山「まなびの森」フォレストアーク副館長・管理人
沢田明宏
■8月管理人日記
今年の8月はシトシト雨が降ったり、霧がかかったりとスッキリしない日が多かったです。その所為か、「フォレストアーク」の玄関先には何回もイヌセンボンタケが発生しました。例年ですと、梅雨時に1~2回発生するだけですが、今年は5~6回発生しました。このイヌセンボンタケ今はナヨタケ科に分類されていますが、発生して1日で消滅してしまうこともあって以前はヒトヨタケ(一夜茸)科に分類されていました。
今年は都会の公園などで猛毒のカエンタケがあちこちで発生しているとニュースで話題になっています。「まなびの森」でも昨年数ヶ所のナラ枯れしたミズナラの根元で発生したので、今年も注意して見廻っていますが幸い見かけません。色鮮やかな朱色をしたカエンタケは素手で触るだけでも皮膚が爛れることがあるそうです。「きれいなキノコだ」と触ったりしないように皆さんも十分気を付けてください。
8月初めには早くもアカトンボの飛んでいるのを見かけ、8月中旬にはヒグラシに代わってツクツクホウシが鳴きはじめました。そして、8月最後の週になってススキが穂を伸ばしてきました。
晴れると日差しは強く暑いですが、日に日に秋らしくなってきています。
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フォレストアーク玄関先に発生したイヌセンボンタケ 1日で消滅します
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猛毒のカエンタケ 宝石サンゴのような美しさ、でも触らないで!(昨年の写真)
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里では稲穂が色づき、山ではススキが穂を伸ばしています
■7月管理人日記
6月末にはやばやと梅雨明けを迎えました。しかし、その後ぐずついた天候が続き、戻り梅雨のような日が続きました。その間はエゾハルゼミが鳴いていましたが、カラッと晴れた7月中旬のある日ヒグラシの涼やかな清涼感のある鳴き声に入れ替わりました。夏本番の到来です。
林床に黄緑色で目立ちにくいが、かわいらしいクモキリソウ(ランの仲間)が見られます。
そして、菌従属栄養の無葉ランのキバナノショウキランが数ヶ所で咲きました。同じく、ナラタケ菌と共生している菌従属栄養ランのツチアケビも咲いています。こう言った無葉ランの仲間は自分では光合成をしません。土壌に棲んでいる特定の菌類(ツチアケビの場合はナラタケ菌)と共生関係があって栄養をもらっていますので、栽培は不可能に近いくらい非常に難しいです。
春先、「まなびの森」で一番初めに花を咲かせたオニシバリが真っ赤な実を熟させています。ツルマサキがたくさんの小さな花を咲かせているので、秋には野鳥の格好のエサとなる赤い実を沢山つけてくれることでしょう。
鮮やかな朱色のタマゴタケが人目を惹きます。ヨーロッパでは「食菌の王様」とも称される美味しいキノコです。もう1つ紹介したいキノコは、2年ぶりに見かけたのがミミブサタケです。チャワンタケの仲間で、息を吹きかけたり、小枝で突っついたりして刺激を与えるとホヮッシュッ~と白い胞子を吹かせます。
「まなびの森」は夏の真っ盛りとなりました。
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黄緑色で目立たないが、かわいらしい花を咲かせるクモキリソウ
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菌従属栄養の無葉ラン、キバナノショウキラン
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キバナノショウキランの花をアップ
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ツチアケビも無葉ランです
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ツチアケビの花をアップで
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早春「まなびの森」で一番に花を咲かせたオニシバリの実はまるで宝石サンゴのよう
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ツルマサキの花、秋には小鳥たちの格好のエサとなる実を沢山つけます
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色鮮やかな朱色が目立つタマゴタケ
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ウサギの耳が林立しているようなミミブサタケ
■6月管理人日記
今年は春先に雨が多く、気温が低かったことが影響したらしく例年ピンク色の鮮やかな花でフォレストアーク周囲を彩ってくれるサンショウバラが1~2輪しか咲きませんでした。蕾は付けていましたが、どうも天候不順でサビ病に負けて途中で枯れてしまったようです。
代わりにホオノキやウコギ、エゴノキが例年通りたくさんの白い花を咲かせ、梅雨空で鬱陶しい気持ちになるのを押し留めてくれます。
森の中のイノシシが作った「ヌタ場」に差し掛かった枝にモリアオガエルが卵塊を産んでいます。今年もフォレストアークの周囲の溝など水場の上に産み付けられています。
その卵塊とは違う泡が枝にみられます。泡を吹き飛ばしてみると1㎝ほどの小さな虫が現れます。アワフキムシの仲間で、樹液を吸ってその粘り気のある排泄物で自分の泡隠れ家を作っています。まるで小さなシャボン玉の塊の中に隠れている感じです。
晴れた日にはエゾハルゼミがにぎやかに鳴いています。今年のある自然体験教室の時にエゾハルゼミが羽化する様子を観察できたそうです。羽化の瞬間はなかなか見られませんが、樹の幹には抜け殻が時々残っています。
もともと雨の多い富士山麓では樹木の幹や倒木に何種類ものコケが絨毯を敷き詰めたように生えています。そして梅雨の時期はそのコケがいつもにも増してモフモフ、フワフワになりとても触り心地がよく、癒されます。
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大きな白い花のホオノキは散った後の花弁も芳香を
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下向きに花を咲かせるエゴノキ
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森の中の「ヌタ場」の枝に産み付けられたモリアオガエルの卵塊
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モリアオガエルの卵塊
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フォレストアークの裏玄関にいたモリアオガエル
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泡の隠れ家
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泡をソッと吹き飛ばすと現れるアワフキムシの仲間(1㎝ほど)
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エゾハルゼミの羽化あとの抜け殻(3㎝ほど)
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エゾハルゼミの成虫(3㎝ほど) ※「まなびの森」にも近い水ヶ塚での写真
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朽ちかけた倒木の上はコケの絨毯でモフモフ
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コケの間から小さなキノコが生えています