まなびの森通信

まなびの森通信

自然あふれる富士山2合目の「まなびの森」フォレストアークから
四季折々のようすやボランティア活動についてお伝えします。
みなさん是非「まなびの森」へ足をお運びください。
お待ちしております。
富士山「まなびの森」フォレストアーク副館長・管理人
沢田明宏

【第203回】新緑からしだいに濃い緑に

2022年 5月31日

■5月管理人日記

 去年に引続き今年の5月もカラッと青空に恵まれることが少なく、気温が低い日が多かったです。湿った天気のせいか新緑はどんどんと濃い緑になり、落葉広葉樹の森は夏の装いとなりました。
 キノコたちは元気に次々と発生しました。私は「まなびの森」で4年目を迎えましたが、初めてキイロスッポンタケやアミガサタケに出遭いました。
 特に、少し珍しいキイロスッポンタケは人生初めての出遭いで興奮しました。この仲間は少し変わった生態をしています。ゼラチン質の卵の中に小さく折りたたまれたキノコ本体は胞子が成熟した時にわずか数時間でニョキニョキっと出現します。キイロスッポンタケに毒はありませんが、粘液状の胞子(黒緑色)に異臭があるので食用には適しません。
 森の中で怪しげな白いものが見られます。葉緑素を持たず、他の植物の根と共生しているギンリョウソウが花を咲かせているのです。
 5月も終わりに近づき、今年も私の大好きなサラサドウダンとベニドウダンが可憐なかわいらしい花を咲かせました。毎年、沢山の花を付けていたサラサドウダンですが、今年はなぜか数が少なかったです。
 「まなびの森」はもうすぐ梅雨を迎えようとしていて、いよいよ緑が深くなります。

  • 青空に新緑が映えます

  • 森は新緑からドンドンと濃い緑に覆われていきます

  • 別名ユウレイバナとも称されるギンリョウソウ

  • ギンリョウソウの群落

  • 里では早春のキノコとして知られるアミガサタケ

  • 少し珍しいキイロスッポンタケ

  • 色鮮やかなキイロスッポンタケがたくさん発生

  • ベニドウダン

  • 今年もピンクのグレデーションが美しいサラサドウダンが花を咲かせました

【第202回】春まっ盛り

2022年 4月28日

■4月管理人日記

 冬の間寒い日が多かったせいでしょうか、早春に花を咲かせるアブラチャンやフデリンドウはいつもより2週間ほど遅く4月になってやっと開花しました。フデリンドウがいつまで経っても開花しないので、どうしたのだろうか、と少し心配しました。
 いっぽうで、マメザクラは4月中旬に開花しました。葉が小さく、恥ずかし気に下を向きに可愛らしい花を付けるマメザクラはここ富士箱根でよく見られるので地元の人は「フジザクラ」と呼んでいます。マメザクラにもいろいろ変異があって、写真で紹介した樹は毎年沢山の花を付けるのでとても華やかに見えます。
 地面からにょっきりと不思議な花が咲いています。葉緑素を持たずブナやカバノキなどの落葉広葉樹の根に寄生するヤマウツボです。
 スミレの仲間にもいろいろな種類がありますが、エイザンスミレはギザギザで切れ込みが深い独特の葉なので見分けやすいです。
 4月23日には富士山エコレンジャー活動で水ヶ塚の下にある須山口登山道でレンジャー仲間と合同パトロールを行いました。今年度初めての活動でしたが、途中の「フジバラ平」と言う人工の調整池で見事な逆さ富士に出遭うことができました。

  • 早春の花アブラチャンの開花は遅かったです

  • ブナなどの根に寄生する葉緑素を持たないヤマウツボ

  • 七分咲きとなったマメザクラ

  • 満開のマメザクラ、沢山の花を付けてとても華やかに

  • 今年のフデリンドウは開花が遅れて4月になってから

  • 特徴的な深い切れ込みの葉をもつエイザンスミレ

  • エコレンジャーの合同環境パトロールの際に見られた美しい逆さ富士

【第201回】ゆっくりと着実な春の訪れ

2022年 3月31日

■3月管理人日記

 3月に入っても標高の高い「まなびの森」では気温の低い日々が続いて草木は固い蕾を閉じていました。その中で先月開花一番乗りしたオニシバリが満開となりました。
暖かさに誘われるようにシジュウカラやウグイスなどの小鳥たちも活発に囀り縄張りを主張するようになりました。
 3月最後の1週間は比較的暖かい日が続いたことでミツマタ、キバナノアマナ、アズマイチゲ、ユリワサビなど早春の花が一気に咲きはじめました。
 ミツマタはその名の通り規則正しく枝分れが三叉となっていて、枝の一番先にポンポンのような花を咲かせあたり一面に甘酸っぱい良い薫りを漂わせています。春の森は生気がみなぎっているように感じますが、その甘い薫りもその一つでしょう。ミツマタの樹皮は繊維質が強く、和紙の原料となります。そして繊維質が強いためシカによる食害が比較的少ない栽培植物です。現在、ネパールや中国からの輸入が90%となっていますが、2024年の新紙幣発行を視野に耕作放棄地など徳島県山間部などで新たに栽培する動きがあります。
 
 3月14日に「企画懇談会」を開催しました。2021年の活動報告と2022年の活動計画、各種調査報告を発表し、ステークホルダーの皆様と意見交換や情報共有しました。例年は「フォレストアーク」で実施していますが、今年はオンライン開催の関係で富士宮市の「富士山環境交流プラザ」をお借りしての開催となりました。いただいた貴重なご意見を活かしながら今年の「まなびの森」を安全に運営していきたいと考えております。

  • ミツマタがポンポンのような花を開きました

  • 一番乗りで開花したオニシバリは満開に

  • バイケイソウの新芽

  • キバナノアマナが3月末に開花

  • アズマイチゲもキバナノアマナと同時に開花

  • 今年の企画懇談会は富士宮市の施設「富士山環境交流プラザ」で開催

  • 対面とWeb中継(Zoom)のハイブリッド方式で19名が参加

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