まなびの森通信

まなびの森通信

自然あふれる富士山2合目の「まなびの森」フォレストアークから
四季折々のようすやボランティア活動についてお伝えします。
みなさん是非「まなびの森」へ足をお運びください。
お待ちしております。
富士山「まなびの森」フォレストアーク副館長・管理人
沢田明宏

【第204回】深緑の森も梅雨入りしました

2022年 6月30日

■6月管理人日記

 今年は春先に雨が多く、気温が低かったことが影響したらしく例年ピンク色の鮮やかな花でフォレストアーク周囲を彩ってくれるサンショウバラが1~2輪しか咲きませんでした。蕾は付けていましたが、どうも天候不順でサビ病に負けて途中で枯れてしまったようです。
 代わりにホオノキやウコギ、エゴノキが例年通りたくさんの白い花を咲かせ、梅雨空で鬱陶しい気持ちになるのを押し留めてくれます。
 森の中のイノシシが作った「ヌタ場」に差し掛かった枝にモリアオガエルが卵塊を産んでいます。今年もフォレストアークの周囲の溝など水場の上に産み付けられています。
 その卵塊とは違う泡が枝にみられます。泡を吹き飛ばしてみると1㎝ほどの小さな虫が現れます。アワフキムシの仲間で、樹液を吸ってその粘り気のある排泄物で自分の泡隠れ家を作っています。まるで小さなシャボン玉の塊の中に隠れている感じです。
 晴れた日にはエゾハルゼミがにぎやかに鳴いています。今年のある自然体験教室の時にエゾハルゼミが羽化する様子を観察できたそうです。羽化の瞬間はなかなか見られませんが、樹の幹には抜け殻が時々残っています。
 もともと雨の多い富士山麓では樹木の幹や倒木に何種類ものコケが絨毯を敷き詰めたように生えています。そして梅雨の時期はそのコケがいつもにも増してモフモフ、フワフワになりとても触り心地がよく、癒されます。

  • 大きな白い花のホオノキは散った後の花弁も芳香を

  • 下向きに花を咲かせるエゴノキ

  • 森の中の「ヌタ場」の枝に産み付けられたモリアオガエルの卵塊

  • モリアオガエルの卵塊

  • フォレストアークの裏玄関にいたモリアオガエル

  • 泡の隠れ家

  • 泡をソッと吹き飛ばすと現れるアワフキムシの仲間(1㎝ほど)

  • エゾハルゼミの羽化あとの抜け殻(3㎝ほど)

  • エゾハルゼミの成虫(3㎝ほど) ※「まなびの森」にも近い水ヶ塚での写真

  • 朽ちかけた倒木の上はコケの絨毯でモフモフ

  • コケの間から小さなキノコが生えています

【第203回】新緑からしだいに濃い緑に

2022年 5月31日

■5月管理人日記

 去年に引続き今年の5月もカラッと青空に恵まれることが少なく、気温が低い日が多かったです。湿った天気のせいか新緑はどんどんと濃い緑になり、落葉広葉樹の森は夏の装いとなりました。
 キノコたちは元気に次々と発生しました。私は「まなびの森」で4年目を迎えましたが、初めてキイロスッポンタケやアミガサタケに出遭いました。
 特に、少し珍しいキイロスッポンタケは人生初めての出遭いで興奮しました。この仲間は少し変わった生態をしています。ゼラチン質の卵の中に小さく折りたたまれたキノコ本体は胞子が成熟した時にわずか数時間でニョキニョキっと出現します。キイロスッポンタケに毒はありませんが、粘液状の胞子(黒緑色)に異臭があるので食用には適しません。
 森の中で怪しげな白いものが見られます。葉緑素を持たず、他の植物の根と共生しているギンリョウソウが花を咲かせているのです。
 5月も終わりに近づき、今年も私の大好きなサラサドウダンとベニドウダンが可憐なかわいらしい花を咲かせました。毎年、沢山の花を付けていたサラサドウダンですが、今年はなぜか数が少なかったです。
 「まなびの森」はもうすぐ梅雨を迎えようとしていて、いよいよ緑が深くなります。

  • 青空に新緑が映えます

  • 森は新緑からドンドンと濃い緑に覆われていきます

  • 別名ユウレイバナとも称されるギンリョウソウ

  • ギンリョウソウの群落

  • 里では早春のキノコとして知られるアミガサタケ

  • 少し珍しいキイロスッポンタケ

  • 色鮮やかなキイロスッポンタケがたくさん発生

  • ベニドウダン

  • 今年もピンクのグレデーションが美しいサラサドウダンが花を咲かせました

【第202回】春まっ盛り

2022年 4月28日

■4月管理人日記

 冬の間寒い日が多かったせいでしょうか、早春に花を咲かせるアブラチャンやフデリンドウはいつもより2週間ほど遅く4月になってやっと開花しました。フデリンドウがいつまで経っても開花しないので、どうしたのだろうか、と少し心配しました。
 いっぽうで、マメザクラは4月中旬に開花しました。葉が小さく、恥ずかし気に下を向きに可愛らしい花を付けるマメザクラはここ富士箱根でよく見られるので地元の人は「フジザクラ」と呼んでいます。マメザクラにもいろいろ変異があって、写真で紹介した樹は毎年沢山の花を付けるのでとても華やかに見えます。
 地面からにょっきりと不思議な花が咲いています。葉緑素を持たずブナやカバノキなどの落葉広葉樹の根に寄生するヤマウツボです。
 スミレの仲間にもいろいろな種類がありますが、エイザンスミレはギザギザで切れ込みが深い独特の葉なので見分けやすいです。
 4月23日には富士山エコレンジャー活動で水ヶ塚の下にある須山口登山道でレンジャー仲間と合同パトロールを行いました。今年度初めての活動でしたが、途中の「フジバラ平」と言う人工の調整池で見事な逆さ富士に出遭うことができました。

  • 早春の花アブラチャンの開花は遅かったです

  • ブナなどの根に寄生する葉緑素を持たないヤマウツボ

  • 七分咲きとなったマメザクラ

  • 満開のマメザクラ、沢山の花を付けてとても華やかに

  • 今年のフデリンドウは開花が遅れて4月になってから

  • 特徴的な深い切れ込みの葉をもつエイザンスミレ

  • エコレンジャーの合同環境パトロールの際に見られた美しい逆さ富士

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