自然あふれる富士山2合目の「まなびの森」フォレストアークから
四季折々のようすやボランティア活動についてお伝えします。
みなさん是非「まなびの森」へ足をお運びください。
お待ちしております。
富士山「まなびの森」フォレストアーク副館長・管理人
沢田明宏
■3月管理人日記
3月に入っても標高の高い「まなびの森」では気温の低い日々が続いて草木は固い蕾を閉じていました。その中で先月開花一番乗りしたオニシバリが満開となりました。
暖かさに誘われるようにシジュウカラやウグイスなどの小鳥たちも活発に囀り縄張りを主張するようになりました。
3月最後の1週間は比較的暖かい日が続いたことでミツマタ、キバナノアマナ、アズマイチゲ、ユリワサビなど早春の花が一気に咲きはじめました。
ミツマタはその名の通り規則正しく枝分れが三叉となっていて、枝の一番先にポンポンのような花を咲かせあたり一面に甘酸っぱい良い薫りを漂わせています。春の森は生気がみなぎっているように感じますが、その甘い薫りもその一つでしょう。ミツマタの樹皮は繊維質が強く、和紙の原料となります。そして繊維質が強いためシカによる食害が比較的少ない栽培植物です。現在、ネパールや中国からの輸入が90%となっていますが、2024年の新紙幣発行を視野に耕作放棄地など徳島県山間部などで新たに栽培する動きがあります。
3月14日に「企画懇談会」を開催しました。2021年の活動報告と2022年の活動計画、各種調査報告を発表し、ステークホルダーの皆様と意見交換や情報共有しました。例年は「フォレストアーク」で実施していますが、今年はオンライン開催の関係で富士宮市の「富士山環境交流プラザ」をお借りしての開催となりました。いただいた貴重なご意見を活かしながら今年の「まなびの森」を安全に運営していきたいと考えております。
-
ミツマタがポンポンのような花を開きました
-
一番乗りで開花したオニシバリは満開に
-
バイケイソウの新芽
-
キバナノアマナが3月末に開花
-
アズマイチゲもキバナノアマナと同時に開花
-
今年の企画懇談会は富士宮市の施設「富士山環境交流プラザ」で開催
-
対面とWeb中継(Zoom)のハイブリッド方式で19名が参加
■2月管理人日記
1月に続いて野鳥の会の皆さんによる鳥獣生息調査が2月13日に行われました。前日の雪のために路面の凍結を心配して、予定を2日ずらしての調査でした。先月の調査の時はアトリの大きな群れを見かけましたが、今回も150羽ほどのアトリの群れと出逢いました。スズメより一廻り大きいアトリですが、そんな小鳥が150羽も集まると飛び立つ時のバタバタッとあたりを包む羽音にはチョッと驚かされます。
シカやイノシシ、タヌキなどセンサーカメラに映る動物たちの行動を雪は足跡として記録しています。トレイル上にシカの足跡が残っています。そしてそれを追っていくと途上にコロコロとしたシカ糞や黄色い放尿の跡も残っています。
今年の2月は特に寒さがいつまでも厳しく、積もった雪が2週間半経った月末になっても融けずに残っています。去年は2月半ばに開花したオニシバリも固い蕾を閉じたままです。探し回ってやっと日当たりの良い場所で一輪だけ開花しているのを見つけました。
2(ふ)月23(じさん)日はご存知のように語呂合わせ「富士山」の日でした。そして、その日の朝の富士山頂の最低気温が―22.3℃だったそうです。なんとも不思議な偶然の一致ではありませんか。
逃げるように2月が過ぎましたが、ここ「まなびの森」の春はあともう少し先となりそうです。
-
先月に続いて降雪がありました
-
翌日は快晴に
-
富士山も綺麗に雪化粧(ゲート前にて)
-
雪化粧の森の中の「長老シナノキ」
-
雪原にシカの足跡が続いています
-
まだ固く閉じているミツマタの蕾
-
ミツマタと同じ仲間のオニシバリの蕾も固く閉じたまま
-
そんな中オニシバリが一輪だけ開花していました
■1月管理人日記
新年が明けてまもなく「野鳥の会」の皆さんによる「鳥獣生息調査」が行われました。-2℃ほどと寒さが少し緩んだ日に行われました。野鳥の種数は20種とそこそこ見られましたが、啼き声や飛んでる姿など記録は少なかったです。その中で、50羽ほどのアトリの大きな群れに出遭いました。エサを求めて、高い位置にあるブナなどの枝を突っついています。アトリ(体長16㎝)は時には大きな群れとなって森を訪れる、スズメ(同14.5㎝)より少し大きな冬の渡り鳥です。
数日前に降った雪が森の中にもまだ少し残っていたので、ふだんは姿を見ることができないテンやタヌキ、ウサギなどの足跡も確認できました。「フォレストアーク」の玄関先にもタヌキとウサギの足跡がみられました。一度雪が積もると、センサーカメラでしか存在がわからない動物たちの姿が浮かび上がってきます。
ある日、別の調査で森を廻っていた時30羽ほどカラスが飛び廻っているのを見かけました。そんな沢山のカラスが飛んでいるのを「まなびの森」で見かけることはあまりないので、動物の死骸でもあるのかとあちこち広範囲に見て廻りましたが、残念ながらなにも見つかりませんでした。謎のままとなりましたが、想像できるのは「富士山スカイライン」沿いでシカが車に撥ねられたのではないでしょうか。
冬至がすぎて1ヶ月以上経ちましたので日はだいぶ長くなりましたが、森の樹々は冬芽を固く閉じ寒さに耐えています。春一番に花を咲かせるオニシバリやミツマタ、アブラチャンも花芽をギュッと固くしています。
日によってはヤマガラやシジュウカラ、ゴジュウカラなどの小鳥たちがエサを求めて「フォレストアーク」の周囲の樹にたくさん集まってきて賑やかになる時があります。キツツキがコツコツと樹の幹を叩いて虫を探している姿も見かけます。
一年で一番寒い2月が訪れようとしていますが、その先には春が控えています。
-
年明け間もなく雪化粧したフォレストアーク
-
アトリの群れ ※ 野鳥の会 南富士支部 遠藤英一さんが別の場所で撮影されたものをご厚意で提供していただきました
-
フォレストアークの玄関先にはタヌキの足跡
-
樹々は白く美しく雪化粧