まなびの森通信

まなびの森通信

自然あふれる富士山2合目の「まなびの森」フォレストアークから
四季折々のようすやボランティア活動についてお伝えします。
みなさん是非「まなびの森」へ足をお運びください。
お待ちしております。
富士山「まなびの森」フォレストアーク副館長・管理人
沢田明宏

【第213回】早い季節の訪れで春爛漫

2023年 3月31日

 今年は3月に入ってすぐとても暖かな日が続きました。
 そのため、3月初めに「まなびの森」一番に開花するオニシバリに続き、中旬には早くもミツマタが満開を迎えました。ミツマタが咲くと辺り一面が甘い薫りに包まれ、とても春らしい雰囲気となります。
 そして、トレールに沿ってキバナノアマナも可憐な黄色い花を咲かせています。例年より2~3週間早い開花となりました。バイケイソウも暖かさに誘われるように新芽を芽吹き始めました。そして、ほかにもコガネネコノメソウやユリワサビ、アブラチャンやヤドリギも例年より早く一斉に花を咲かせています。こんなに一斉にいろいろな花が咲き誇ることは珍しく、季節外れの暖かさが続いた賜物だと思います。
 富士山スカイラインの標高800m辺りまではマメザクラが開花しているので、「まなびの森」での開花は4月初旬となるのではないでしょうか。
 3月16日「企画懇談会」が開催されました。昨年1年間の活動報告と各種調査報告、今年の活動計画を発表してステークホルダーの皆さんと話し合うのが「企画懇談会」です。昨年は対面・Zoom併用開催だったため「富士山環境交流プラザ」をお借りしての開催でしたが、今年は2年ぶりに「フォレストアーク」で開きました。いただいた貴重なご意見を活かしながら今年も「まなびの森」を安全・円滑に運営していきたいと考えております。
 2023年は「まなびの森」25周年の記念すべき年ですが、富士山にとっても特別な年となっています。1998年に富士山憲章が制定されてから25周年、そして2013年に世界文化遺産に登録されて10周年と言う記念すべき年となっていますので、これに関連したさまざまな記念行事が富士山周辺で開かれることでしょう。今後の管理人日記でもできるだけご紹介していきたいと考えています。

  • バイケイソウの新芽

  • ミツマタが甘い薫りを漂わせています

  • キバナノアマナが開花

  • 早春の花 コガネネコノメソウ

  • ユリワサビの花

  • ヤドリギの花 横のピンク色の蕾はマメザクラ

  • アブラチャンの花 背景はミツマタの花

  • 今年の企画懇談会は2年振りに「フォレストアーク」で開催

  • 閉会挨拶をお願いした静岡大学客員教授の増澤先生

  • 富士山世界文化遺産登録10周年記念のロゴ

【第212回】立春を過ぎて暦の上では春ですが...

2023年 2月28日

 1月に続いて「日本野鳥の会」南富士支部の皆さんによる鳥獣生息調査が2月11日に行われました。前日の雪のために路面の凍結が心配されましたが、当日は幸い路面凍結もなく調査は滞りなくできました。調査の折り返し地点である「まなびの森」最奥部でシジュウカラ、ヤマガラ、ゴジュウカラ、ヒガラと言ったカラの仲間やエナガの40羽ほどの混群がにぎやかに飛び交っていました。
センサーカメラに映った写真などを通して動物たちの行動知ることはできますが、雪はその足跡をフィールドサインとして記録してくれています。この日も、シカをはじめ、テンやイノシシ、タヌキなどの足跡が沢山残されていました。
 別の日に「フォレストアーク」の前には鳥の足跡が残されていました。野鳥の会の方に見てもらったところ、歩き方と歩幅からヤマドリではないかとのことでした。ヤマドリは少し地味な茶色ですが、キジ(日本の国鳥)に似た姿形で長い尾羽が特徴です。
 2023年もアッと言う間に2ヶ月が過ぎようとしています。里ではロウバイやウメの花が咲いて春の兆しですが、「まなびの森」の春はもう少し先です。
※ヤマドリはその長い尾羽を詠んだ「百人一首」柿本人麻呂の和歌
『あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の 長々し夜を ひとりかも寝む』
でも有名です。また、万葉集にはほかにもヤマドリを詠んだ和歌があります。

  • 鳥獣調査の前日に降り始めた雪

  • 調査ルートの折返し地点で休憩する「野鳥の会」の皆さん

  • 雪原に残っていたのはきれいな梅鉢模様はタヌキの足跡

  • 雪の上に残されたヤマドリの足跡

  • 目の周りの赤が印象的なヤマドリ

  • ヤマドリはその長い尾羽も特徴

  • ヤマドリと姿かたちが似ているキジは色鮮やかな日本の国鳥

  • キジもヤマドリも威嚇や縄張り主張でホロ打ちをする ※ヤマドリとキジの写真4枚は「日本野鳥の会」南富士支部の方が別の場所で撮影されたものをご厚意で提供していただきました

【第211回】2023年がスタート

2023年 1月31日

 今年はトレール沿いの立枯れ木の伐採が仕事始めとなりました。昨年末に森林管理署と相談の上、トレールに近い立枯れた樹木は危険と言う事で森林ガイドの方に協力していただき伐採しました。また、別の日にはホールアースの方々に協力していただき、トレール途上の深く抉れた涸れ沢、通称「まなびの森」キャニオンに木製の橋を架けていただきました。これで今年も皆さんに安心して「まなびの森」を歩いていただくことができます。
 1月第2週に冬鳥の調査のため「野鳥の会」の皆さんによる「鳥獣生息調査」が行われました。野鳥の種数は14種と少なかったです。そんな中で、特別に目立ったのがゴジュウカラでした。森の中のあちらこちらで「フィーッ、フィーッ」と良く通る啼き声が聞かれ、「今日はゴジュウカラの大合唱会だね」などと口々に話していました。
ゴジュウカラ(体長 13.5㎝)は青灰色をしていて、尖った嘴を持ち、嘴から目元まで黒くアイシャドウのあるスズメ(体長14.5㎝)より少し小さい鳥です。野鳥の中で唯一木の幹を下向きに下りことができます。素晴らしい身体能力を持った鳥と言えます。
 1月末には、昨年一年間の「まなびの森」での活動を実地に踏査しながら振り返り、今年の活動に活かすための「活動状況調査」を行いました。日中の最高気温も氷点下と言う真冬日の厳しい寒さでしたが、森の中を10人で歩きながら今年の課題などを確認しました。トレールの一番高い場所にある通称「海の見えるケヤキ」からは冬枯れで見通しの良い森から駿河湾越しに伊豆半島も見えます。
 私にとってこの冬は4度目ですが、例年に比べ格段に厳しい寒さが続いています。「フォレストアーク」の建物の中に置いている手洗い用の水がドンドン凍っています。こんなことは今までにありませんでした。
 2月は更に厳しい寒さになるのではないかと、内心ヒヤヒヤして春が待ち遠しいです。

  • トレール沿いの立枯れ木を伐採

  • トレールを通せん坊していた倒木も伐ってもらいました

  • トレールのキャニオンに橋が完成しました

  • キャニオン橋架けにご協力いただいたホールアースの皆さん

  • 真冬日の中、活動状況調査を行いました

  • その途上、キャニオン橋の渡り初めをしました

  • 橋の向こう側でもテープカットをしました

  • 凍てついた落ち葉からも霜が

  • 苔むした樹の幹が薄っすら雪化粧

  • 「海が見えるケヤキ」から眺める駿河湾と伊豆半島

  • 巨木の1つ「海が見えるケヤキ」

  • ゴジュウカラは頭を下にして樹の幹をして下りることができます ※ 別の場所で野鳥の会 南富士支部の方が撮影されたものをご厚意で提供していただきました

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