今回コラムをご覧の皆様の中には、自身や両親などが住んでいる戸建住宅の相続税評価額はどのくらいになるのか、気になる人は多いと思います。
ここからは、戸建住宅を相続する際に相続財産に加算する相続税評価額を見積もる方法を紹介します。
戸建住宅の相続税評価額は「建物」と「土地」に分け、それぞれ別の評価方法で計算します。
公開日:2024.03.12
今回コラムをご覧の皆様の中には、自身や両親などが住んでいる戸建住宅の相続税評価額はどのくらいになるのか、気になる人は多いと思います。
ここからは、戸建住宅を相続する際に相続財産に加算する相続税評価額を見積もる方法を紹介します。
戸建住宅の相続税評価額は「建物」と「土地」に分け、それぞれ別の評価方法で計算します。
建物の評価額は固定資産税評価額に1.0を乗じて計算します。
したがって、その評価額は固定資産税評価額と同じです。
固定資産税評価額は、毎年1月1日時点で対象となる住宅の登記上の所有者に所在地の自治体が送付する固定資産税納税通知書に記載されています。
また、固定資産税評価額が記載された「固定資産税評価証明書」を送付先の自治体で取得することができます。
都心部にある土地は「路線価方式」を用いて、「路線価×土地の面積」で評価額を算出します。
路線価は路線(道路)に面する標準的な宅地の1㎡当たりの価額で、国税庁が毎年7月に公表している路線価図で確認できます。
正確な「固定資産税評価額」はこの路線価に「奥行きが長い」「前後に道路がある」などの土地の形状に応じた「補正率」を加算することで決まります。
路線価が定められていない郊外では「倍率方式」で判断します。
倍率方式の計算式は「固定資産税評価額×倍率」です。
倍率は国税庁が毎年数値を見直しています。
相続財産に加算する住宅地の「相続税評価額」は、「路線価方式」または「倍率方式」を用いて正確な評価額を算出しますが、「固定資産税評価額」は、国土交通省土地鑑定委員会が毎年3月に公示する「公示価格」の概ね7割、「相続税評価額」は概ね8割なるように設定されています。
この試算では、「相続税評価額」は、「固定資産税評価額」に1.14(1÷0.7×0.8)を掛けた額になります。
例えば「固定資産税評価額」が2,000万円の住宅地の「相続税評価額」は2,280万円(2,000万円×1.14)になります。
「固定資産税納税通知書」、「固定資産税評価明細書」には、当年度の土地の「評価額」と「固定資産税の軽減措置」などで減額された「課税標準額」が記載されています。
「固定資産税評価額」から「相続税評価額」を見積もる際は「評価額」を使います。
※ 固定資産税の軽減措置
住宅用地の場合は、「固定資産税の軽減措置」により200㎡以下の部分(小規模住宅用地)に対する
課税標準は6分の1に、200㎡以上の部分は3分の1に減額されます。
小規模宅地等の特例とは、一定面積までの宅地(土地)の評価額を最大80%減額できる制度です。
土地のみが対象で、建物は対象ではありません。
対象の宅地は主に「特定居住用宅地等」と「特定事業用宅地等」の2つです。
特定居住用宅地等とは自宅のことで、特定事業用宅地等は店舗や事業所を指します。
他にも、特定同族会社事業用宅地等と貸付事業用宅地等が対象です。
相続税の申告期限(相続開始日から10か月以内)までに相続人同士で宅地の遺産分割協議が終わっていれば利用できます。
■小規模宅地等の特例の減額率
小規模宅地等の特例では、宅地の種類によって減額率が異なります。
「特定居住用宅地等」の減額率は80%で、適用面積は330㎡が限度です。
例えば、500㎡の住宅地を5,000万円で相続したと仮定します。
減額できる金額は「5,000万円×330㎡÷500㎡×80%=2,640万円」、
住宅地の「相続税評価額」は「5,000万円-2,640万円=2,360万円」です。
■特定居住用宅地等(自宅)の場合
居住用宅地等(自宅)の適用条件は、「宅地の相続人が誰か」によって変わります。
取得者ごとの適用条件は以下の通りです。
1.配偶者が相続した場合
配偶者は宅地を相続すれば適用できます。
ほかに要件はありません。
2.同居の親族が相続した場合
相続した宅地を相続税の申告期限まで保有し、かつそこに居住していれば適用できます。
3.その他の親族が相続した場合
次の要件に該当すれば適用できます。
ア.亡くなった人に配偶者や同居の親族がいない
イ.宅地を相続した親族は、相続の3年前までに「自己または自己の配偶者」「3親等以内の親族」
「特別の関係がある法人」の持ち家に住んだことがない
ウ.相続した宅地を相続税の申告期限まで保有している
エ.相続開始時に居住している家屋を過去に所有していたことがない
自身や親族が居住している住宅には、「いくらで買った(取得価格)」、「いくらで売れる(売却価格)」、「公示価格」、「路線価」、「固定資産税評価額」、「相続税評価額」など、価格の違う評価額があります。
この機会に自宅や実家などの資産価値を調べてみましょう。