マイホームの取得に際して住宅ローンを利用する場合は、火災保険に加入することが一般的な融資の要件、また自己資金のみで、マイホームを取得する場合も火災保険への加入は、万が一の損失への備えてとして大切なことです。
その火災保険の基本は火災による損害の補填ですが、その他にもセットできる多くのオプション契約があります。
今回のコラムでは、そのオプション契約の一つ、家財が損害を受けたときの「家財補償」のポイントを解説します。
公開日:2024.07.01
マイホームの取得に際して住宅ローンを利用する場合は、火災保険に加入することが一般的な融資の要件、また自己資金のみで、マイホームを取得する場合も火災保険への加入は、万が一の損失への備えてとして大切なことです。
その火災保険の基本は火災による損害の補填ですが、その他にもセットできる多くのオプション契約があります。
今回のコラムでは、そのオプション契約の一つ、家財が損害を受けたときの「家財補償」のポイントを解説します。
家財補償とは、家具や家電製品、その他の持ち物が自然災害や偶発的な事故で壊れたり、隣家の事故などで水に濡れたり、あるいは盗難で盗まれてしまった時などに、同等のものを再度取得するために必要な新価(再調達価額)を限度に、保険金が支払われる火災保険の補償のひとつです。
家財保険の補償の対象になる家財は建物に収容されていて動かすことのできる財産です。たとえば、家中にあるタンスや椅子、家電製品や衣服、高額貴金属など、また敷地内の物置や車庫の中の動かすことのできる家財なども補償の対象になります。
一方で、家中や物置や倉庫にあっても、動かすことのできないものは、補償の対象になりません。
たとえば、造り付けのクローゼットやエアコンなど固定されて動かない物、自動車やパソコン内のデータ、動物・植物や通貨などは補償の対象外です。どの家財が補償の対象となるかは、火災保険の契約をしている保険会社によって異なる場合があります。
火災保険に家財補償をつけることで、火災や落雷、台風や集中豪雨などの災害による風災や水災、盗難などで家財に損害が生じた時の損失に備えることができます。
・火災の場合は失火責任法という法律により、重大な過失がある場合を除いて、もらい火と言われる近隣火災での自宅が延焼では、火元となった人に法律上の損害賠償責任を求めることはできません。
火災保険は、延焼火災による損害も補償の対象になります。
延焼火災による自宅の損害は火災保険が助けてくれることは、重要なポイントになります。
・火災保険は、「損害保険金」と「費用保険金」の2つに分けることができます。例えば、火災の消火活動による家財の損害や、燃え残った家財を片付ける費用などは、「費用保険」の一つの、「残存物片づけ費用保険金」で補償されます。
・家財に対して風災・雹(ひょう)災・雪災の補償をセットすれば、突風で窓ガラスが割れたことによって家財が破損した場合や、大雪によって家が倒壊し、家財が壊れたといった場も補償を受けられます。
・水災の補償をセットしていれば、台風や集中豪雨による床上浸水により家財に損害が発生した場合にも補償を受けられます。
なお、このような災害時の補償は、高層マンションなどで必要ない場合は、補償範囲から外すこともできます。
・落雷の補償をセットしていれば、例えば、自宅近くの電柱に落ちた落雷の影響でテレビが故障した場合など補償が受けられます。
・盗難の補償をセットしていれば、自宅に泥棒が入って家財が盗まれたり壊されたりした場合は、補償が受けられます。
例えば、家族が多いご家庭で、子供が自宅で遊んでいてテレビを故障させた、ボール遊びでサイドボードを壊した、掃除や模様替えなどで移動中の家具を落としてしまったなどの破損や故障。
偶然の事故により破損や故障した家具や家電製品は、家財補償がセットされていて、なおかつ「破損・汚損」も補償対象になっている場合は補償の対象なります。
免責金額が設定されている場合は、免責金額を引いた額が保険金になります。
補償対象となる条件は、「不測かつ突発的な事故」です。
そのため、故意による破損・汚損や、ソファーを飲み物で汚した等外観だけの損傷は補償されません。
また、家具や家電製品を外出先に持ち出して壊してしまった場合も補償の対象外です。
以下、保険金を請求する際の基本的な流れです。
1. 家具や家電製品の破損や汚損の補償を使う場合は、代替品を買い換える前に保険会社に連絡して、契約者氏名、保険証券番号、事故内容、被害状況などを伝えます。
2. 保険金の請求に必要な書類や案内が送られてきます。
3. 保険会社からの案内に従って保険金請求書、修理費用の見積書、被害の状況がわかる写真など、必要な書類を提出します。
4. 必要書類が届くと、保険会社は、鑑定人による被害状況の確認・調査を行い、調査結果と提出された申請書類などをもとに保険金の支払対象かなどの審査を行い、保険金の金額が確定させます。
5. 契約者指定の口座に保険金が振り込まれます。
火災保険は、保険責任が大きい為、単体では、地震を原因とした損害は補償の対象外になります。
地震保険は、保険会社が負う保険責任を政府が再保険し、民間の保険会社のみでは対応できないような巨大地震発生時に損害を補償する保険です。
地震による被害は、建物の損壊が主になりますが、揺れにより倒れた家具や食器などの家財の損害も大きな損失になります。
火災保険では「建物」と「家財」を分けて契約しますが、それぞれに地震保険を付保することができます。
地震保険で設定できる家財の保険金額は、火災保険の保険金額の30%から50%の範囲内で、保険金額の上限は1,000万円です。
地震保険は火災保険に付帯させるものですから、家財補償の対象も基本的に火災保険と同じです。
実際の損害額で保険金額が決まる火災保険と違い、地震保険は地震等により損害が発生した場合の「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の4つの基準による損害の程度で保険金額がされます。
地震保険で支払われる家財の保険金
損害の程度 | 家財の損害額(認定の基準) | 保険金の支払額 |
---|---|---|
全損 | 家財の時価の80%以上 | 地震保険の保険金額の100%(時価額が限度) |
大半損 | 家財の時価の60%以上80%未満 | 地震保険の保険金額の60%(時価額の60%が限度) |
小半損 | 家財の時価の30%以上60%未満 | 地震保険の保険金額の30%(時価額の30%が限度) |
一部損 | 家財の時価の10%以上30%未満 | 地震保険の保険金額の5%(時価額の5%が限度) |
今回のコラムでは、火災保険にセットする家財補償をテーマにしました。
自然災害や偶発的な損害での家財の再調達はお金がかかる場合があります。
火災保険は長期契約で契約が基本です。
例えば、子供が生まれて家族が増えた時には、火災保険の家財の「破損・汚損」の契約があると安心かもしれません。
自然災害が心配な場合は、自然災害に対応した補償の契約があるかを考える事も大切です。
このように、火災保険で必要な補償が何かを考えることは住宅取得の指針計画の大切な要件の一つです。