住宅金融支援機構には、全期間固定金利型の【フラット35】を利用する場合に、子どもが引き継いで、同じ住宅ローンを返済していく「親子リレー返済」という制度があります。
今回は、その「親子リレー返済」とはどのような制度か、またその特徴や注意点についてお伝えしていきます。
公開日:2012.08.28
住宅金融支援機構には、全期間固定金利型の【フラット35】を利用する場合に、子どもが引き継いで、同じ住宅ローンを返済していく「親子リレー返済」という制度があります。
今回は、その「親子リレー返済」とはどのような制度か、またその特徴や注意点についてお伝えしていきます。
「親子リレー返済」とは、親が住宅ローン利用者となり、子どもや孫などが後継者(連帯債務者)となって、将来何らかの理由により住宅ローン利用者の返済が難しくなった際に、後継者が残りのローン債務を引き継いで返済するという返済方法です。
「親子リレー返済」の後継者の要件には、次のようなものがあります。
「親子リレー返済」には、以下のようなメリットがあります。
【フラット35】は、申込時の年齢が満70歳未満でなければ利用することができませんが、所定の条件を満たし「親子リレー返済」を利用すれば、70歳以上の方でも申し込むことができます。
親子どちらかの年収だけでは借入希望額まで借り入れが難しい場合でも、「親子リレー返済」であれば親子で収入合算することができるため、借入可能額を増やすことが可能です。
「親子リレー返済」を利用し返済期間を長くすることで、月々の返済額の負担を少なくすることができます。
【フラット35】の借入期間は、15年(申込みご本人または連帯債務者が満60歳以上の場合は10年)以上、かつ、次の(1)または(2)のいずれか短い年数(1年単位)が上限となります。
例えば、両親が60歳3ヶ月の時に注文住宅を建て、住宅ローンは【フラット35】を利用しようとした場合、借入期間は「80歳 - 61歳」で19年となります。そこで、30歳3ヶ月である子どもを後継者にして「親子リレー返済」を利用すれば、返済期間を35年に延ばすことができ、借入期間19年の場合と比べて月々の返済額の負担を少なくすることができます。
「親子リレー返済」には、以下のような注意点があります。
後継者には申込人の子どもや孫がなることができますが、親+息子+孫など3名のリレー返済にはできません。あくまで、本人+1名の2名体制で返済していくことになります。
たとえ親が返済している期間であっても、子も同じ返済義務を負うため、原則として新たに別の住宅ローンを借りることはできない可能性があります。
今はよくても将来的に転勤や結婚等で生活環境が変わることもあります。その点も考慮して選択を行う必要があります。
「親子リレー返済」を利用する際の機構団信への加入は、親または子(連帯債務者)どちらか一方が加入者となります。そのため、住宅ローンの契約者(債務者)のうち加入していない方が死亡または高度障害状態になっても、住宅ローン債務は弁済されません。
また、機構団信の保障は満80歳までです。機構団信を利用する場合は、以上の条件を踏まえて親子のうちどちらを加入者にするかを慎重に検討することが大切です。
今回のコラムは、【フラット35】を利用する際の「親子リレー返済」について、ポイントとなる点を整理してみました。
マイホームの資金計画を考える際、年齢や年収の兼ね合いで希望の借り入れが難しい方や子どもの住宅購入を支援したいとお考えになる方などは、「親子リレー返済」を選択肢のひとつとしてみてはいかがでしょうか。