まとまった収入や、貯金がたまっている場合は、積極的に繰上返済をするのが有効だと聞きましたが、正しいのでしょうか。繰上返済の有効な利用方法を教えてください。
繰上返済とは住宅ローンの返済中に手元資金の一部を住宅ローンの元金に一時金で充当する返済方法です。繰上返済の方法には「返済額軽減型」と「期間短縮型」の二つがあります。一般的に同じ条件であれば、「期間短縮型」のほうが、利息の軽減効果が大きく返済期間も短縮できるので、老後資金対策としても効果があります。
この「期間短縮型」の繰上返済の効果は住宅ローンの償還表から計算することができます。
まず償還表で繰上返済をする時期の残債を確認します。そこから繰上返済で、元金に充当する額(手元資金100万円を使うのであればその金額)まで元金が少なくなっているところを探します。この間の利息の合計が利息軽減効果です。またこの間の返済回数が短縮される返済期間となります。変動金利型や固定金利選択型の住宅ローンを利用している場合で、金利の見直しにより毎月の返済額が増えるようなケースでは、金利の変更前に期間短縮型で繰上返済をして残債を圧縮すれば、見直しで金利が上昇しても毎月の返済額への影響は小さくすることができます。
ただし、期間短縮型の効果は、返済の終了時にしか実感できません。逆に「返済額軽減型」は繰上返済をした直後からその効果が実感できます。
教育費などの負担が増えてローンの負担が厳しい家計では、「返済額軽減型」を、金利の上昇に耐えうる家計で資金的に余裕がある場合は、「期間短縮型」を選択するなど、家計の状況に応じて使い分けることが有効な利用法となります。